恐ろしい「まるめ」の話…病院は3か月で退院させられる?

ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

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病院の役割で「追い出されるのではない」

命を救う高度急性期病院・
急性期病院

 

脳血管疾患など緊急を有するものは高度急性期病院や急性期病院で治療を受けます。この病院の役割は命を救うことで、一般的に2週間を待たず退院となります。症状が安定し転院となりますが、これを追い出されたと思う人も多くいるようです。ここのベッドは次の緊急患者のためのものです。退院時期を決めるのは、医師や看護師の感情ではなく、病院の役割上、仕方のないことであると理解しておけば、余計な怒りとストレスを抑えることができます。

 

疾患によっては
回復期リハビリテーション病院で
集中的にリハビリを

 

回復期リハビリテーション病院は、回復期に集中的なリハビリを行うことで低下した機能を取り戻すことが目的です。厚生労働省によって、病気の種類や状態によって入院期間も決められています。脳血管疾患、大腿骨頸部骨折などの患者が常時8割以上入院しています。そして、「もう少しリハビリをここで続けたい」などの希望は難しくなります。

 

【回復期リハビリテーション病院 東京】などで検索すると対象の病院が調べられるので、取り組みなど気に入ったところがあれば、転院を受け入れてもらえるか直接、自分で問い合わせることも可能です。

 

病院は3か月で退院させられることが多いのには理由があるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
病院は3か月で退院させられることが多いのには理由があるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

地域包括ケア病棟で在宅復帰に向けて
準備をする

 

地域包括ケア病棟は手術や検査など急性期を経過し、症状が安定した患者の在宅復帰を支援する病棟です。自宅や介護施設に復帰予定で、経過観察や在宅での準備が必要な場合、医師の判断で提案されます。ここに続けて入院を希望すると転棟となり期間は60日が限度です。入院費用も地域包括ケア病棟入院料となり一般病棟より増額となる場合がありますが、高額療養費制度によって月の医療費に上限がある場合、負担額は変わりません。在宅復帰率も7割以上あり、専任の在宅復帰支援担当者が配置されています。

 

退院後も継続した治療が必要なとき

 

療養病床は長期間の療養が必要な患者のベッドを病院内に設置したもので、医療療養病床(医療保険対象)と介護療養病床(介護保険対象)があります。現在ある介護療養病床は高齢者の社会的入院、高額療養費の問題で廃止予定ですが、今後その役割は介護医療院などの医療付き介護施設へと転換されます。医療療養病床は、今後も医療措置の必要性の高い患者を受け入れるため残ります。

 

 

病院に3か月ルールがある理由

 

入院は病院によって、診療報酬が異なり「出来高方式」と「包括評価方式(DPC)」があります。出来高方式とは入院中の診療行為ごとに医療費を計算するもので、包括評価方式(DPC)は病状に応じて1日当たりの定額料金を基本に医療費を計算しています。自動車損害賠償責任保険や労働者災害補償保険で入院する場合や自由診療で入院、日帰り手術で入院の場合は出来高方式となります。DPC対象病院であるかは入院時に確認できます。DPC対象で入院しているのに他の医療機関で診察や投薬を受けると、その費用は自費となります。

 

例として一時外泊が許されて、他の先生の意見も聞きたいなどという思いから診察を受けるというイメージです。そして、病院は3か月で退院させられるという話もありますが、これには包括方式が影響しています。病院としては投薬、検査、点滴など処置回数に関係なく診療報酬総額が変わらないもので「まるめ」とも呼ばれます。入院が90日を超えると診療報酬の低い「まるめ」となるため、退院してほしいわけです。入院して2週間は報酬も高いため、この期間は退院させたくないので逆に退院日に影響を与えます。病院は営利主義なのです。

「在宅介護エキスパート協会」代表

1964 年、静岡市生まれ、川崎市育ち。NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。
2人の子どもに恵まれるも、両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入退院を繰り返す。長年にわたり仕事、子育て、介護(遠距離介護4年・在宅介護8年)の「トリプルワーク」を経験。仕事をしながらの育児、介護にストレスが極限にまで達し、介護疲れを起こす。書籍や情報サイトなどを頼るも、「介護の常識」は、仕事や育児との両立をしている人にとっては、全てこなすことなど到底できない理想論であることを痛感する。その後、「自分でもできる介護」を自力で確立することを決意。アイデア発想講師としての知識を生かし、それまでの「完璧な介護」から「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究する。

著者紹介

連載親の入院、介護ですぐやること、考えること、お金のこと

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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