恐ろしい…このままだと空き家になってしまう!
■空き家の固定資産税が6倍に!?
政府は新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえた緊急事態宣言に伴い、「テレワークによる出勤者7割減」の目標を掲げています。また、巷ではテレワーク(リモートワーク/在宅勤務)で働く場所の制限が解かれ、地方への移住を望む人が増えているともいわれています。
しかし、実態はどうでしょうか。
コロナ禍におけるテレワーク導入・実施に関しては、省庁をはじめ、各関係機関で実態調査が実施されています。しかし、最近のニュースリリースなどを見ても、テレワーク実施率は正社員で約25%、非正規に至っては16%程度にとどまっています。
Fさんの職場も同様です。これを機に全員テレワークに切り替えよう……との方針にはなりませんでした。
生活費や子育て環境を考慮すると、いっそ実家に転居しようかとも考えましたが、現実的にはそう簡単にはいきません。生活していくには実家の周辺で職を得る必要があります。ただでさえ求人数の少ない地方、しかも、このコロナ不況下です。
総務省統計局『平成30年住宅・土地統計調査住宅数概数集計結果の概要』によると、全国の空き家は846万戸と過去最高の数値を記録しています。都道府県別に見ると、都市部及び周辺ベッドタウンは空き家率が低く、逆に空き家率が高い県には別荘やセカンドハウスに人気の地域も入っています[図表]。
「このまま管理できないと、実家も放置空き家になってしまう」……Fさんは頭を抱えました。
平成27(2015)年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。倒壊の危険や防犯・衛生・景観上の問題がある空き家・空き地を放置すると、「特定空家等」に指定される可能性があります。
「特定空家等」に指定されてしまうと、セカンドハウスの軽減措置どころではありません。人が居住するための家屋が建つ敷地、つまり住宅用地には、税金が軽減される特例措置がありますが、それも適用できなくなってしまいます。
たとえば、Fさんの実家の敷地が200平方メートル以下の小規模住宅用地であれば、200平方メートルまでの部分の固定資産税が1/6に減額されます。ところが、特例措置を適用できなくなることで、逆に言えば、6倍の固定資産税を毎年払わなければいけなくなるのです。
さて、どうしたものか。ご自身で申告・納税するつもりだったFさん夫妻ですが、ここはやはり専門家である税理士の知恵を得ようということになったのです。