ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『入院・介護・認知症…親が倒れたら、まず読む本』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

病室の噂話には必要以上聞かない、話さない

噂話には参加しない

 

入院生活が長くなると、場合により親も自分も同室者やそのご家族と仲良くなることもあります。病院スタッフや特定の患者さんについて、話が出たとしても「そうですよね」など話を合わせるのは程々にしましょう。噂話になったら早めに退散しましょう。自分のことを色々と聞かれることがあるかもしれません。必要以上に聞かない、話さない線引きも大切です。話の内容を気遣えばよく、交流を断つという意味ではありません。

 

好意のお裾分けも良し悪し

 

入院病棟にもよりますが、同室の方への食べ物のお裾分けは、必ず看護師に確認してください。良かれと思っても食事制限がある場合があります。お見舞い品で食べきれないからと深い意味はなくても先方が気を使い購入してまでお返しを配る、なんていう悪循環になる場合もあります。一昔前は、入院時に挨拶としてお菓子を配ることもあったので親世代はその習慣が抜けていない人もいます。現在は配らないことで嫌な思いをすることはありません。

 

話半分で右から左

 

母が大腿骨頸部骨折で入院したとき同室の女性から、「毎日、面会に来なくても良いのに」とか「リハビリは専門の人に任せておいた方が良いと思う」と助言をいただいたことがあります。私は毎日の仕事帰りと、土日は半日を費やし面会に行っていましたが、目的は体調確認、食事介助と車いすでのリハビリです。そして、この頻度で面会可能だったのも家から5分以内の病院だからです。

 

その方々はご家族の面会も少なかったのですが、遠距離や家族が忙しいなどそれぞれ事情があるのでしょう。所詮はひがみと思い、右から左で「そうですね、ありがとうございます」と一言で終わらせます。もちろん面会もリハビリも退院まで毎日続けました。余計なところでイライラしないために気にしない、話半分もときには必要です。

 

大声を出す同室入院者への対応は?

 

病院の中でも急性期病棟は、入院者の入れ替わりが多くあります。私は家の近くの病院に親が入院したときだけは、毎日面会に行くのですが、いつも困ることがあります。かなりの割合で「おしっこ漏れちゃうよ~お姉さん」のような主にトイレの訴えをする人や「助けて~痛いよ」と大声を出す患者がやたらと多いのです。私しか面会者がいなくて、食事時で看護師の人手も足りないときなど放っておかれているので、知らせた方が良いのか悩みます。

 

私は、その方のことをよく理解していない段階では知らせに行きました。それで、「あの方はいつもです」と看護師が行動をとらなかったら、次の日からは騒がせたままにしています。看護師さんに知らせた方か良いのか?と直接確認をしたら、目が行き届かない時間帯もあるので、「念のために知らせてもらえた方が助かる」と言われました。

 

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親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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