ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

救急車を呼ぶか迷ったら救急相談窓口へ

救急車を呼ぶか迷った!
(自宅や外出先などで自分が居合わせた場合)

 

様子がおかしいけれど、救急車を呼ぶべきか、こんな症状で呼んでも良いのか、など困ったときは救急相談窓口#7119へ電話をしてみましょう。救急安心センターは総務省消防庁の主管で、背景には限られた救急車の有効利用があります。近年、蚊にさされた、病院で長く待つのがイヤなどの理由で救急車を呼ぶ人が実際にいるのです。最寄りの救急医療機関や、その症状からすぐに病院に行くべきか、救急車を利用するべきかを24時間体制で案内してくれます。相談料は無料ですが、通話料は利用者負担になります。

 

救急相談窓口
(救急安心センター事業)

 

#7119が利用できるのは現在のところ、東京都、大阪府と一部都道府県、市区町村に限られています。着々と参加は進んでいるようですが、残念ながら全国にはまだ普及していません。自分の住んでいる地域や旅行先で具合が悪くなったときなど、【×県(市) 救急医療】で検索すると情報が得られます。個別に相談窓口の電話番号を調べることができます。

 

様子がおかしいけれど、救急車を呼ぶべきか(※写真はイメージです/PIXTA)
様子がおかしいけれど、救急車を呼ぶべきか、迷ったら…。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

全国版救急受診アプリ「Q助」

 

総務省消防庁
「Q助」案内サイト

 

 

 

 

 

緊急を要する場合

 

意識がない、けいれんしている、大量の出血や広範囲のやけど、強い吐き気、異物の飲み込み、高いところからの転落など、緊急時は迷わず119番(地域の消防署)に電話をしてください。ためらうのは時間のロス! いつもと違う、様子がおかしいと感じたら119番です。電話をかけてから、慌てないように頭の中を整理しておきましょう。

 

119番に電話がつながった際の応答例

 

(1)救急です、と伝える。
(2)救急車に来てほしい住所か目標目印、を伝える。
(3)誰が、どうなっているのか。意識や呼吸は?話はできるのか?を伝える。
(4)その人の年齢。不明ならばおおよその年齢を伝える。
(5)通報した人の名前と連絡先、を伝える。

 

救急車到着まで

 

(1)衣服やベルトを緩める、吐きそうな場合は麻痺がある側を上にして体ごと横向きにする。(こうすると吐いたものが気道に詰まるのを防ぐことができる、嘔吐物はタオルよりキッチンタオルで処理をする)

 

(2)自宅の場合は、保険証、診察券類、薬またはお薬手帳、靴の準備をする。(搬送先の病院での診察や入院もあるので、入院準備を日頃から心がけておくとよい)

 

(3)サイレンが聞こえたら外に出て誘導をする。(目標物を伝えても特に夜間はわかりにくい場合があり、近くまで到着していても別のところでサイレンが止まることもある)

 

(4)ケガや病気の状態によっては応急手当てをする。(救命講習会に参加しておくと、必要な知識を得られる)

 

緊急性がない場合は家族で対応する

 

救急相談窓口で緊急性がないと判断されたときや、外傷の手当て、不調を訴える能力が残っていてぐったりとしていないならば、自家用車かタクシー、もしくは車いすなどを使用しながら家族が対応することになります。

 

● 病院の診察時間内で、病名や原因がはっきりしないときはまずは、かかりつけ医へ相談。
● 休日や夜間は市区町村の休日急患診療所、救急医療情報センター(24時間365日対応)へ相談を。電話で受診できる医療機関(歯科を除く)を案内してくれます。

 

 

 

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親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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