ガス自由化で「変わったこと」「変わらなかったこと」
そのため、プロパンガスの販売店や大手以外の小規模プロパンガス会社は戦々恐々としています。これまでのライバルであった都市ガスに、大手電力会社や未知のエネルギー企業が続々と参入してくれば、ガス管はみるみるうちに拡大してしまうのではないか。そうなれば、現在プロパンガスを利用している家庭も、すぐに都市ガスへ移行してしまうのではないか……と、プロパンガス業界に明るい未来を描けなくなっているのです。
現在、ガス導管が整備されているエリアは、およそ2700万世帯です。それに対して、プロパンガスを利用しているのはおよそ2400万世帯なので、それほど大きな差はありません。
しかし、自由化によって、都市ガスを取り巻く環境は大きく変わりはじめました。今後、利用者の光熱費をめぐる仁義なき戦いがプロパンガス業界へ飛び火するのは時間の問題で、なにが起きても不思議ではない状況なのです。
■都市ガス自由化のねらい
都市ガスの自由化では、すでに敷設されているガス管を使って、新規の会社もガスを供給・販売できるようになっています。「安全・安心はそのままに都市ガスも選べる時代へ」これが、都市ガス自由化へ向けて経済産業省が掲げていたキャッチフレーズです。そして、都市ガス自由化の大まかな内容は次の通りです。
①自由化によって変わること
●都市ガスを供給する会社であれば、消費者は自分が使うガス会社を自由に選べるようになった。
●各都市ガス会社が提供する複数の料金設定、ガス器具とセットになったパッケージなどから、自由に選べるようになった。
②自由化になっても変わらないこと
●利用するガス管をはじめ設備は従来通り。
●新規の都市ガス会社を選んでも、定期保安点検、緊急時の対応などは、原則同じ。
●ガスそのものの品質はこれまでと同じ。
では、経済産業省ひいては国はなにを目指して、都市ガスの自由化を行ったのでしょうか。
まず、都市ガスに先立って2016年4月に行われた電力の自由化とあわせ、日本のエネルギーシステムを改革することが挙げられます。四大事業者中心の従来のシステムのままでは、競争の原理がほとんど働きません。それでは、新しい技術、新しいサービスはなかなか生まれません。業界の垣根を越えた協力も生まれません。そこで、エネルギー業界全体の活性化を図ろうとしたわけです。
同時に、利用者サイドに選択の自由を提供することで、エネルギーへの意識が高まり、どんな事業者、どんなサービスを利用すればお得になるのか、どんなエネルギーが地球環境にとってよりよいのかなどを考えるようになります。そうなると、ガス事業者に対する要求もこれまで以上に増えることになります。
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