加速する値下げ合戦…自由化でガスが大変なことに
■激変するエネルギー業界の勢力図
2017年のガス小売自由化によって、都市ガスの購入先は消費者が自由に選べる時代となりました。日々の光熱費を1円でも安くしたい消費者にとって、競争の原理で電気やガスなどの利用料金が下がることになる自由化は歓迎すべき事態といえます。一方、電力やガスを提供する側にとっては、熾烈(しれつ)な光熱費の争奪戦がスタートしたことを意味します。
他社よりも安く、お得なプランを打ち出すことで既存顧客の流出を防がなければなりません。さらに付加価値を高めていくことで、他のエネルギーを利用していた顧客の乗り換えを促し、業界で生き残らなければなりません。エネルギー業界はかつてない戦国時代へ突入しているのです。
ガス自由化に向けた競争は、自由化がスタートする以前からはじまっていました。関西電力は2016年12月に、大阪ガスよりも利用料が安くなるガス料金プランを発表しました。それを受けて大阪ガスは2017年初頭には対抗プランを発表。すると関西電力はわずか1週間後、さらに割引幅を拡大すると発表しました。そして、このような争いは、今では全国各地で繰り広げられています。
■都市ガスとプロパンガス
ガスの自由化は電気とひとくくりにされることが多いのですが、実は両者は市場構造が大きく異なります。旧一般電気事業者が10社ほどあるのに対し、都市ガス事業者は全国で約200社。東京ガス、大阪ガス、東邦ガスといった大手企業も存在しますが、ほとんどが従業員100人以下の中小企業です。それぞれの企業が限られた供給区域を担当しているという構造です。
現在、一般家庭で使われているガスは、都市ガスとプロパン(LP)ガスに大別されます。利用する側としては、どちらもガスコンロのスイッチを捻ひねればつく「火」の燃料に変わりないという印象を持ちますが、都市ガスはガス管を通って供給されるため、ガス管が届いているエリアでしか利用することはできません。全国にネットがある、電気を供給する送電線と比べると、まだまだ整備が行き届いているとはいえない状況です。
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