相続税は、遺族の結束によって節税が可能な税金です。しかし、いざ相続となったときにそれぞれの勝手な思惑がぶつかったり、外野が口を挟んだり・・・と、揉め事の原因は尽きません。*本記事は廣田龍介税理士の著作『相続財産を3代先まで残す方法』から一部を抜粋、再編集したものです。

親が主導権を握り、生前に意志をはっきり示す

相続の争いを防ぐためには、遺言書が欠かせません。しかし、実際に遺言書を作成するとなれば、財産の把握と整理ができてからです。それらが進んでいくと、財産をどのように人に引き渡すかが見えてきます。それを踏まえて遺言書の内容を考えます。

 

被相続人の意志や財産の分割方法を示していくことを、「財産承継」と言いますが、財産承継にあたって最初に考えるべきは、その持ち主である本人がどうしたいかの意志です。「親の意志が明示されていなくても、子どもたちだけでうまく話し合いができる」と期待してはいけません。こういう思い込みも争いの種になります。

 

親として、自分の意志を決めかねているなら、じっくり考える時間を取って、意志をはっきりさせる必要があります。親の意志が固まっている傾向が強いのが、事業承継です。事業の場合、長男、次男がいたとしたら、親はそれぞれの子の手腕や性格を見抜き、どちらを後継者にするか心づもりができていくものです。

 

また、次期社長となると、従業員や得意先などから評価が高いことが前提となることもありますので、そういった第三者の意見を踏まえて自然に決まっていく節もあります。相続という話が本格的に出る前に、後継者を擁立して、自分が退くタイミングを計っている経営者も多いことでしょう。

 

親が苦労して事業を営んできた姿を子どもたちは見ているものです。その責任や歴史を引き継ぐ後継者に対して、他の相続人は異議を唱えるどころか、感謝し、応援する立場になることも多いのです。

 

私が懸念しているのは、相続財産が自宅と現金・預金のみといった一般の家庭です。そのような家庭では、相続財産について、処分法を考えていなかったり、表明していなかったりする人が多いのです。事業ではない資産には、特別な引き継ぎの必要がありませんし、第三者も関わってこないので、被相続人が軽視してしまうのかもしれません。

 

大切なのは、親が主導権を握り、生前に意志をはっきりさせることです。そして、その意志を相続人に伝えるために、遺言書を作成しておくのです。

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本記事は、2013年8月2日刊行の書籍『相続財産を3代先まで残す方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続財産を3代先まで残す方法

相続財産を3代先まで残す方法

廣田 龍介

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢化による老々相続、各々の権利主張、そして重い税負担…。 現代の相続には様々な問題が横たわり、その中で、骨肉の争いで泥沼にハマっていく一族もあれば、全員で一致団結して知恵を出し合い、先祖代々の資産を守っていく…

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