遺言書を作る前には「家族会議」の機会を持つ
遺言書に記載する本人の意志を決めるのに、1人ではなかなか決めづらいこともあるかと思います。それはもしかしたら、受け取るほうの気持ちを考えているからではないでしょうか。自分の意志を決めるのにたった1人きりで最初から最後まで考える必要はありません。決定権はもちろん本人にありますが、参考意見は多少でもあってよいはずです。
私は遺言書を作る前に、家族と話し合いをする家族会議の機会を持つことをお勧めしています。なぜなら、家族と話し合ってみたら、自分が考えていたことより、もっとよい分割方法が見つかるかもしれないからです。
自分がよかれと思って決めた内容でも、残念ながら子どもにとって明らかに望ましくないことも出てきます。親子とはいえ、大人になってから何十年も経って、子どもがどのような状況になっているか隅から隅まで把握しているということは、ほとんどの家庭でありえないことだと思います。ただ、表面的にはわからない子どもたちの本当の事情を知っておくことは、遺言書を作る上で重要なことなのです。
もちろん遺言書は相続人同士のトラブルを防ぐことが第一目的ですが、相続人それぞれの希望に近い分割方法を提示したほうが、その後の相続人の人生によい影響を与えられ、皆が満足する相続に近づいていくというものです。