事業再構築補助金続報②:補助対象科目が具体化
これまでいくつかの具体例を挙げて、どのようなケースであれば補助金対象となるかは公表されていました。今回は補助金対象となるケースの中で、具体的にどんな費用が補助対象になるかが公表されています。以下は経産省・中小企業庁が運営するミラサポPLUSからの引用です。
衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で客足が減り、売上が減少
⇒店舗での営業規模を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換。
補助経費の例:店舗縮小にかかる店舗改修の費用、新規オンラインサービス導入にかかるシステム構築の費用など
[製造業]
航空機部品を製造していたところ、コロナの影響で需要が減少
⇒当該事業の圧縮・関連設備の廃棄等を行い、ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立上げ。
補助経費の例:事業圧縮にかかる設備撤去の費用、新規事業に従事する従業員への教育のための研修費用など
[飲食業]
レストラン経営をしていたところ、コロナの影響で客足が減り、売上が減少
⇒店舗での営業を廃止。オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応。
補助経費の例:店舗縮小にかかる建物改修の費用、新規サービスにかかる機器導入費や広告宣伝のための費用など
上は具体的な再構築例に基づいた補助経費の例ですが、補助経費をまとめたものも公表されました。
【注】補助対象企業の従業員の人件費及び従業員の旅費は補助対象外です。
筆者が興味を持ったのは建物費と建物改修費です。最初に挙がっておりますので、利用頻度が高いと中小企業庁が考えているものと思いますが、両経費ともあまり他の補助金では対象となっておりません。新型コロナの影響が直撃した小売業、飲食業の救済策として盛り込んだのでしょう。
改修費は事例にあるような店舗縮小・規模縮小の他、取扱商品を変更するなどで用いられるのでしょう。建物費は不動産取得費を補助するとは考えにくいため、家賃補助的な意味合いなのかもしれません。店舗改修よりも小さな場所に移転したほうが費用が安い場合、補助金があるならばと無理に改修するよりも、移転して一部家賃を補助してもらう方が妥当です。建物費の定義は非常に重要なので、正式な発表を待ちたいと思います。
建物費、建物改修費が売り場の再構築であれば、次に考えるべきは売り物の再構築が必要となります。これらに相当するのが設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)です。
ほとんどの申請企業が少なくともこちらの経費は補助対象として申請することでしょう。
売り場、売り物が変わればもちろん売り方の再構築も必要となります。そのために必要なのが販売員の再教育であり、研修費(教育訓練費等)として対象となっています。
売り物が変わったのであれば、それを新たに認知してもらう必要があるため広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)も対象となっています。チラシを作成したり、ネット広告を打ったり、展示会に出展するなどの費用も補助対象です。
俯瞰してみると、人件費と仕入れ以外はすべて補助対象になります。ここまで補助対象経費が広く、さらに全体の予算枠が巨額な補助金はありません。繰り返しになりますが、アフターコロナの展望がまったく描けない中堅・中小企業の経営者は、企業再生のためにこの補助金を使って何ができるかを考えるべきだと思います。