東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で緊急事態宣言が再発令されました。依然として猛威をふるう新型コロナウイルスを前に、中小企業はただ立ちすくむしかないのでしょうか。経営者として、危機的状況化だからこそ取るべき行動をみていきます。※本連載では、企業再生のスペシャリストである坂本利秋氏が、中小企業が経営難を乗り切る方法を解説していきます。

「緊急事態宣言」再発令…中小企業がやるべきこと

年末年始の帰省の自主規制もむなしく、首都圏の1都3県を対象に1月8日から2月7日を期間とする緊急事態宣言が再発令されました。飲食店への時短要請だけでなく、不要不急の外出控え、出勤者の7割削減を企業へ要請しています。

 

再び、緊急事態宣言が…(画像はイメージです/PIXTA)
再び、緊急事態宣言が…(画像はイメージです/PIXTA)

 

4月の緊急事態宣言時と同じく、多くの中小企業へ多大なる悪影響を及ぼすでしょう。新型コロナウイルス感染拡大防止については中小企業経営者にはコントロールできませんから、各々で可能な限りの感染防止を行いつつ、あとは政治にまかせましょう。中小企業経営者が行うべきは、自社のコントロールです。現在のコロナ禍、緊急事態宣言下でもやるべきこと、できることがあります。

新型コロナに伴う金融支援

政府系金融機関による新型コロナ融資は、2020年3月から始まりました。制度上の元本据置期間は最大で5年間とされておりますが、実際には1~2年で運営されている模様です。よって、最も早い企業は2021年3月から元本返済がスタートすることになります。

 

昨年3月と現在の環境を比較すると、新型コロナウイルスの感染拡大は止まらずワクチンも投与もこれから、経済活動は縮小したままです。この間、多くの中小企業が赤字幅が拡大するも、新型コロナ融資、補助金、助成金等でどうにか資金繰り破綻を回避していました。多くの中小企業が対象となった持続化給付金、家賃支援給付金は2021年1月で終了します。この状況下で、元本返済開始など到底できないというのが、多くの中小企業経営者の本音でしょう。

 

そしてこの状況を政府、金融庁、金融機関も良く分かっています。これが新型コロナ融資に関して中小企業経営者のおかれた環境です。今後は緊急事態宣言の効果が判明、ワクチン投与を開始、過去に例を見ない規模の事業再構築補助金がおそらく決定、東京オリンピックの開催可否の決定がなされるはずで、現況より環境が改善するかもしれません。この現況を経営者は積極的に利用すべきです(関連記事:『続報!コロナ禍で瀕死の中小企業を救う「事業再構築補助金」』)。

 

・新規もしくは追加での新型コロナ融資をお願いしましょう。

 

・新型コロナ借入の元本開始時期を2021年3月、4月に設定している経営者はすぐに政策公庫、商工中金、民間金融機関へ元本据置期間の延長を依頼してください。

 

・新型コロナに関連し、既存借入を返済猶予している経営者はすぐに、返済猶予の延長を申し出てください。

 

新型コロナの新規融資額は2020年5月頃をピークに減少傾向にあります。筆者の顧客や懇意の金融機関職員によるヒアリングでも、新規と比較すると追加融資には金融機関は消極的です。

 

一方で既存借入の返済猶予の延長は積極的に認めてくれます。筆者の顧客の中には「年始の挨拶の際に依頼したらその場で認められた」という経営者もいます。もちろん、後から行内稟議を申請し決裁が必要なのでしょうが、その場で行員が認めるくらい行内では返済猶予の延長が確実ということでしょう。良く言われる通り、中小企業の生命線は資金繰りです。新年早々ですが、資金繰り確保の行動をとってください。

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