「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

日記には「今日の飯は最高!100点以上」

逃亡失敗

 

「啓蟄」=冬籠りの虫が這い出るという暦があるが、最近の暖かさにつられてか、ここ数日じーじは、逃亡(一人外出)を試みる回数が増えてきた!

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

おとといは、室外機の上に座って居眠りをしていたし、昨日は、はだしで玄関の外にいたところを発見され、逃亡は未遂に終わっている。

 

今日もまたいない! わが家の敷地の中にはいないので慌てて門の外にいくと、塀にもたれかかっている。「どうしたの?」と尋ねると、「ひなたぼっこだ」とじーじ。

 

……そこは日陰です。

 

AEONの弁当が好き

 

仕事が忙しかったのを理由に、夕飯はAEONの398円弁当(おまけに50円引き)に。良心が痛むので、お刺身3切れ298円(こちらも50円引き)を付けてだしたところ「今日はすごいご馳走だ」と大喜び。

 

次の朝になっても、「昨日の夕飯はうまかった、正月がきたみたいなご馳走だった」と……。

 

日記には、「今日の飯は最高! 100点以上」と書いてある!

 

翌日、じーじの大好きな豆腐料理を作って献上し「おいしい?」と聞いたら、返って来た答えが「普通……」

 

一瞬にして奈落の底に突き落とされたのであった。

 

認知星人のバリエーション
認知星と交信が終了し、スイッチが入ると認知星人に変身するじーじだが、いくつかのバージョンがあるのでここでご紹介しよう。

 

怒りん坊星人
自分の思い通りに事が運ばない時に現れる。怒りん坊将軍に進化する。
得意技:「俺に死ねというのか」

 

破壊星人
電気に関するトラブルが発生した時に現れる。
得意技:「扇風機を引きちぎる」

 

管理人星人
これまた、電気に関するトラブルが発生した時に現れる。
得意技:「第一種電気工事士の資格証を印籠のように見せる」

 

怒りん坊星人ダース・ベイダー版
怒りん坊星人の最強版。スーハー・スーハーと不気味な鼻息とともに、背後から忍び寄る。
得意技:「時速60㎞で走行中の車のドアを開けようとする」
 

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

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認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

黒川 玲子

海竜社

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