じーじの判子嫌いは分からないまま
目には目を、判には判を
じーじは数種類の介護保険のサービスを利用しているが、サービスを受けるには、サービスを提供してくれる事業所との契約が必要になる。今回、新たな事業所を利用することになり、契約をしなければならないのだが、黒川家にとっては大問題なのである。
じーじは判子を押すことに対して異常なほどの反応を示す。以前、「そんなに判子が欲しけりゃ、どこかで買って、押しておけ!」と言い放った経歴の持ち主。
そう簡単に事が運ぶとは思えない。
新しくサービスを利用するには、本人(じーじ)との面談が必要になるため、事業所の人が家に来ることになる。じーじにとっては見ず知らずの人が家に来て、いろいろ質問をされるのも好きではないらしい。今回は、何度もじーじに事情を説明し、いざ当日を迎えた。
外ヅラ良夫君のじーじは、ニコニコと笑顔で質問に答え、いろんな話をしながら無事に契約が終わったのだったが、事業所の方が帰ったその後、事件は起こった!
「あ~たね(あなたね)」出た! 敬語。認知星人に変身したじーじは怒ると、私を「あなた」と呼び、怒りが最高潮に達すると「あ~た」と呼ぶ、まさに戦闘態勢なのである。
「先ほどの契約ですが、破棄していただけないでしょうか?」とじーじ。事情を説明するもまったく聞こえていない様子。おまけに、「だいたい、あいつ(事業所の人)になぜ、弁護士の電話番号を教えるんだ」と、怒りはさらに倍増し、話はあらぬ方向に。「つべこべ言わずに今すぐ血判状を持ってこさせろ」とまで言い出す始末。
……ピカッとひらめいた! 判子嫌いには判子だ!
「わかりました。残念ですが、契約を破棄する手続きをとりましょう。しかし、契約を破棄するには判子を押していただかなければなりませんね」とじーじの口調に合わせて敬語で答えると、「なに! 判子が必要になるのか……」と判子に反応してしばらく黙り込むじーじ。そして「本意ではないが、この契約はこのままとしよう」と、部屋に戻って行ったのであった。
じーじが、ここまで判子を押すことにこだわるのは、何か理由があるはずだ、今度機嫌のいい時に聞いてみよう!
黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者
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