今回は、個人で他の神社を手伝った場合の謝礼について、課税されるかどうかを見ていきます。※本連載は、税理士・公認会計士であり、宗教法人からの税務相談に数多く対応している山下勝弘氏の監修書籍、『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』(すばる舎リンケージ)の中から一部を抜粋し、宗教法人の収益事業にまつわる課税について解説します。

お手伝いした他の神社から受け取る謝礼は・・・

神職に就く前にサラリーマンをしていたこともあって、パソコン操作には慣れていますし、経理部門にいたこともあるので事務処理能力もそれなりにあります。そのため、よく近所にある他の神社の事務手伝いに駆り出されます。もちろんボランティアのつもりなのですが、お礼をいただくケースも少なくありません。

 

これも収益事業に該当するのでしょうか?

個人で請け負い、年間20万円以下の収益なら課税対象外

個人で請け負っている限りは課税対象になりません。

 

このようなケースでは、個人で請け負っているときと、法人として請け負っているときでは若干、扱いが異なります。

 

個人の場合、年間20 万円以下の副業は申告の必要がありません。仮に20万円を超えても、必要経費を差し引いた金額がそれ以下なら同様に申告は不要です。また、受け取った謝礼金を法人の会計に移しても、寄付になりますから、税務上問題はないと考えます。

 

一方、法人として「受託業務」を行なっているのであれば、名目が「お礼」であっても請負業に該当し、納税義務が生じます。

 

ただし、対価が必要経費を超えない場合はその限りではありません。たとえば往復の交通費や最新のパソコン操作を習得するために購入した書籍代は立派な経費です。これらを差し引いた金額が課税対象になるのです。

 

この場合、「実費弁償による申告免除申請書」を税務署に提出して申告免除の確認を受けることもできますが、各種書類を用意しなくてはならず、けっこう面倒です。免除申請が通らない場合もあります。そもそもボランティアのつもりでスタートしたのであれば、税を負担されてもよいかと思いますが…。

 

いずれにしろ、少額であれば以後は個人としてお手伝いされるとよいと思われます。

本連載は、2016年2月24日刊行の書籍『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

神社・仏閣…… すべての宗教法人のための 収益UP&節税対策 パーフェクト・マニュアル

神社・仏閣…… すべての宗教法人のための 収益UP&節税対策 パーフェクト・マニュアル

山下 勝弘 監修

すばる舎リンケージ

われわれ税理士や会計事務所に寄せられる宗教法人の方々からの質問として多いのは、「支出入の扱いは法人か個人か」「相続について」「土地活用について」この3種類です。 宗教法人は「本来の宗教活動による収益」については…

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