相続税の基礎控除額が引き下げられ、課税対象となる被相続人が増えた結果、「資金が足りずに税金が払えない」という人が急増しています。このような事態を避けるには生前からの相続対策が必要不可欠です。しかし資金調達のため不動産を売ろうとしても、そこには思わぬトラブルが……。

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代表清算人を探し出す

こうしてa社が私道を持ち続けたまま年月が過ぎ去っていったのですが、その間に、同社は不動産事業をやめて会社を解散してしまいました。しかし、自社の商業登記簿を閉鎖した後も、a社は私道を処分しなかったので、実質的にもまた不動産登記簿上も同社が私道を保有する状態が続いていたのです。

 

そこで、a社から私道の使用に関して承諾を得るために、私は同社の代表清算人を探しました。代表清算人とは、会社が解散したあとに残された資産の処分や管理等を行うために置かれる役職であり、解散した会社の元役員などが就任します。私道等の権利関係についても代表清算人が承諾を与えることが可能です。

 

したがって、代表清算人を見つけることができれば、私道の承諾書を得ることも期待できるわけです。逆にいえば、代表清算人を見つけることができなければ、承諾書を入手できず、Bさんの不動産を売却できなくなる危険がありました。さまざまなルートをたどった結果、最終的にはa社の代表清算人を見つけ、承諾書を得ることに成功しました。そしてその後、その私道の持ち分を安価で売ってもらうこともできました。

 

その代表清算人の方はすでにご高齢だったので、もし探し出すのに手間取っていたら承諾書すら手に入らない可能性もあったでしょう。こうして、無事、持ち分を確保できた結果、Bさんは何の問題もなく不動産を売却し納税資金を確保することができたのです。

「相続破産」を回避する地主の生前対策

「相続破産」を回避する地主の生前対策

加瀬 義明

幻冬舎メディアコンサルティング

2015年1月から実施された相続税増税により、「資金が足りずに税金が払えない」「不動産を手放すしかない」という人が急増しています。 不動産の売却によって納税資金を用意できればいいものの、「隣地との境界問題が解決でき…

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