「中高年層になっても英語論文の発表に取り組んでみてはいかがでしょうか」。通常、論文執筆は若手医師を主体とした活動であり、40歳を超えると縁遠くなる医師がほとんどだ。ところが現役内科医の筆者はあえて逆張りの提案をしつづけている。その深い理由とは? ※「医師×お金」の総特集。GGO For Doctorはコチラ

英語論文が「最強の生涯学習」になるワケ

それではなぜ私は、中高年になっても論文を書こう、という逆張りの提案をあえてしているのでしょうか?

 

一つには、英語論文に取り組もうとすること自体が、生涯学習の最強の方法になることが挙げられます。いうまでもなく医療技術は日進月歩ですから、中高年医師の生涯学習は重要な課題です。もちろん、国内の講演会や学会に参加したり、日本語の医学書や医学雑誌を読んだりするのも、臨床医の勉強方法として有益です。ただし、日本語の情報ばかりでは、世界の潮流が見えてこない可能性があります。

 

それではニューイングランド医学誌(NEJM)やランセットなどの英文誌を読めばいいのでは、となるでしょうが、それだけでは不十分だと私は考えています。母国語でない情報を取り入れるのは、多少英語が得意でもかなりのハンデを背負っています。ただ漫然と英語を読んでいるだけでは、受け身になって表面的な理解にとどまり、興味も長くは続かず身になりません。

 

また、医学・医療に関する自分の意見や見解を手軽に世間に発表する手段として、ツイッターやフェイスブック、ブログなどでの発信に取り組んでおられる医師も最近では少なくありません。しかしそれだけでは、意見の質や水準を必ずしも担保できませんし、独りよがりな内容に陥ってしまう危険性もあります。その主な読者も仲間内に限られてしまいます。

 

そこで能動的に情報を取り入れ、積極的に最新の医学情報に関わり、かつ、品質が保証された発信を広く世界に向けて行う手段として、英語論文の執筆が出てくるわけです。

 

英語論文を発表するためには、まず最新の医学水準を押さえる必要があります。さらに発表するに足るテーマを見つけ、根拠と論理を持った知見や主張を考えなければなりません。それを一定の構造を持った文章にまとめ、海外の専門家にも通用する形に仕上げます。その内容が一定以上の水準をクリアすることで、初めて英語論文を発表することが可能となります。

 

学会に参加したり気軽にツイッターでつぶやいたりするのとは、一段違った労力が必要になるわけです。けれども、まさにそのようなプロセスを経るからこそ、英語論文の発表は絶好の生涯学習の機会になりうるのです。

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