患者が行き場を失う…3週間もかかる「コロナ病床」設置手続き

新型コロナウイルスの陽性者数が、右肩上がりに推移している。濃厚接触者は陰性だった場合にも2週間の自宅待機を求められるが、医療現場においてそれは極めて難しい。治療を中断できない患者も多くいるからだ。コロナ対応は、陽性者だけでなく「濃厚接触者」や「疑い患者」のことまで考えなくてはいけない。今回は「コロナ病床」の設置について現場からの声を聞いた。※「医師×お金」の総特集。GGO For Doctorはコチラ

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3週間もかかった「コロナ病床」の設置手続き

以前の記事『透析患者がコロナ陽性で判明…日本の医療体制の「課題と限界」』(関連記事参照)で、透析患者さんの陽性者が発生した後に、「濃厚接触者が陰性でよかった」というだけでは終わらない状況があったことを紹介しました。

 

この中でも出てきますが、私がお手伝いしているPCR専門検査センターが置かれる施設には、最低限ではありますが、透析装置や入院病床も設置されています。今回はまず、この施設への病床設置のための手続きを紹介しようと思います。

 

始めに「届出有床診療所病床設置計画書」を市の保健所に提出します。県での協議が行われ、設置が適当と判断されると保健所を通して通知があり、「診療所開設許可事項変更許可申請書」、「診療所使用許可申請書」の提出へと手続きを進めていきます。

 

使用許可が出た段階で病室として使用することができるようになり、使用開始後はすぐに「病床設置届」を提出します。

 

手続き書類には、設置目的や施設の概要、職種ごとの従業者定員とともに、建築の情報を記載していきます。構造概要や部屋ごとの用途と面積、階段の幅や蹴上、踏面の寸法、採光状況や換気状況といった細かい情報も求められます。図面や医師免許証の写しなどを添付して提出します。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

今回は、病床自体の設置手続きとは別に、コロナに対応する病床とするうえで必要なやりとりも、保健所を通して県との間で行われました。患者さんの動線や感染に配慮したゾーニングを細かく詰め、最終的には、県からコロナ患者等の受入医療機関として指定や依頼を受けることになりました。

 

今回のような手続きは、そう頻繁に行うものではありません。特に、病院側にとっては慣れない手続きです。保健所の方の丁寧な説明に助けられました。

 

手続きのため、何度も保健所に通いました。窓口で追加の資料が必要であったり不備があったりした際にはすぐに準備に戻り、整い次第すぐにまた保健所を訪問するなどし、一日中行ったり来たりするような日もありました。保健所側も少し遅い時間であっても対応してくれました。

 

この施設はもともと病院で、閉院して使っていなかった建物でした。コロナ対応用の施設として、新規にクリニックとして手続きを行い、そこに病床を新たに設置したという経緯があります。大きな改修は不要だったため、過去の手続き書類を参照しながら書類を整えることができました。それでも、設置の手続き自体には、3週間ほどを要しました。

早急に手続きを進め「患者の行き場がない状況」を回避

実は、この施設に病床が設置されたのは、透析患者さんの陽性者が発生したのと同じ頃でした。この事例では結果的にこの施設の病床を使うことはありませんでしたが、この施設に病床がなければ近隣医療機関だけでうまく対処しきれない可能性もあったのです。

 

たとえば、【以前の記事】で述べた通り、透析患者さんで、介護サービスする方が濃厚接触者だった場合、介護サービスを継続して受けることは難しいと思われるため、入院という選択が考えられます。

 

また、濃厚接触者となった透析患者さんが、遠方に住む送迎サービスが必要な方であったり、冬になり雪が降る可能性の高い山間部で生活している方であったりする場合も議論にあがりました。リハビリを受けていたADLの低い方が濃厚接触者だった場合、その後の生活を考えると、2週間をどう過ごせばよいのかという声もあります。そういった場合の対応ができる施設は多くありません。

 

病床設置に限らず、事務手続きに疑問を感じることも確かにありますが、必要だからこその内容だと信じたいものです。いずれにせよ、患者さんを受け入れるためには、済ませる他ありません。早く手続きが完了すればそれだけ早く施設が使え、患者さんの利益になります。手続きが簡単になることを期待するだけでなく、医療機関側の事務スタッフの対応力を強化することも重要です。

 

陽性者のことだけを考えればよいというわけではない具体例が発生したということで、改めて保健所を中心に、市内の医療機関が集まりコロナ病床の役割分担について確認し合う場が設けられました。病床の数の問題ではなく、陽性者だけでなく濃厚接触者や疑い患者さんのことまで考えた、コロナ病床全体の適切な運用が問題になってきています。

 

年末年始で人の移動が見込まれ、この地域でも一度に何人もの感染者が発生することが考えられます。医療機関どうしで押し付け合うような状況、患者さんの行き場がなくなってしまうような状況は避けなければなりません。

 

 

杉山 宗志
ときわ会グループ

 

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ときわ会グループ 

静岡県伊豆出身。静岡県立韮山高等学校、東京大学工学部建築学科卒業、同大学院工学系研究科建築学専攻修士課程終了。東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム修了。東京大学在学中は運動会剣道部に所属。現在は福島県いわき市を中心に医療、介護、教育を軸に事業展開する『ときわ会』にて勤務。

著者紹介

医療と社会の間に生じる諸問題をガバナンスという視点から研究し、その成果を社会に発信していく特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」による学会。「官でない公」を体現する次世代の研究者の育成を目的とし、全国の医療従事者が会員として名を連ねている。

著者紹介

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