全く異なる内容が…「仏壇にあった遺言書」の検認
その封筒の中には、封筒が“2つ”入っていた。
浅野は、封筒を開封し、それぞれ裁判官に手渡した。裁判官は、まず封筒の1つから束になった紙の塊を取り出し、1枚目の紙にざっと目を通し、読み上げた。
裁判官「『私、寺田信太郎は、別添の遺産を全て祐人に相続させる。』と記載されています。それに付言事項として亜季さんに対するお礼の記載もあります」
祐人の表情が明るくなった。
裁判官は、紙を1枚めくった。2枚目以降は不動産登記事項証明書等が添付されていた。
裁判官「不動産登記事項証明書が添付されていますが、証明書に署名押印がありませんね」
裁判官は、証明書をめくりながら、けげんな表情をした。
鈴木・祐人「えっ」
裁判官は、次の遺言書を手に取った。
裁判官「もう1つの封通の中の紙には、『相続分は、愛子2分の1、祐人2分の1と指定する。他の相続人の相続分は0と指定する。』とあります。しかし、これには、署名のみで日付と押印はありません」
裁判官は、遺言書についてそれぞれ全員に意見を確認し、そして、検認手続は終了した。
「祐人、愛子さん、この後、時間ありますか。今の手続を説明したいのですが」
「僕も話を聞きたい。裁判官が言ったことはどういうことなんだ」
「どの遺言書も有効性に問題があるんだよ。事務所で説明するよ」
相続分の指定「愛子・祐人は2分の1、他は…」の問題点
<改正法Q&A>相続分の指定とは?
遺言者(被相続人)が、その意思に基づき、共同相続人の中の特定の者の相続分について法定相続分と異なった割合を定めること(民902条)を遺言による相続分の指定といいます。遺産の2分の1や3分の1など、相続財産全体に対する分数的割合で示されるのがこの典型です。
相続分の指定により、当然に法定相続分の割合を修正する効果が生じますが、このような相続分の指定は、それ自体によっては、遺産共有の状態に変更を加えるものではなく、各相続人に対し、個々の相続財産に対する具体的権利を取得させるという効果を有するものではありません。
したがって、相続分の指定がされたにとどまる場合は、専ら遺産分割として処理することになります。
なお、本件においては、愛子さんと祐人さんが各2分の1、真人さんと利彦さんの相続分は零とする相続分の指定がなされています。
「真人と利彦の相続分は零と指定する」相続分の指定は両名の遺留分を侵害するものです。改正前民法下においては、「遺留分に関する規定に反することができない」(改正前民法900条1項ただし書)と規定していたことから、遺留分を超える相続分の指定があった場合の効力が問題となり、見解が対立していました。
しかし、改正法は、前記規定を削除し、相続分の指定を受けた相続人を受遺者の中に含め、遺留分権利者が受遺者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができるものとしました(民1046条1項)。
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