~あらすじ~
父の遺産をめぐり対立した兄弟。自宅購入のため資金確保を急いでいた長男・真人は、遺産の畑を売却するため、家庭裁判所に「遺産の一部分割」を求める調停を申し立てた。
畑の存続を望む二男・祐人は、友人の鈴木弁護士とともに調停に臨む。第1回調停期日のテーマは、遺言書の有効性、遺産の範囲の確定などの前提問題。
まずは「前提問題」の確認…第1回調停期日
調停委員・杉浦「前提問題からお伺いします。遺言書が3通ありますが、これらについては、どのように考えますか」
弁護士・鈴木「内容的には、被相続人・信太郎さんの意思が反映されていると思っています。できれば仏壇にあった『二男祐人に全部相続させる』又は相続分を『妻愛子2分の1、祐人2分の1と指定する』旨の遺言書の内容に従って分割できればと思っています。もっとも、形式面に不備があり、無効もやむを得ないと考えていますが…」
長男・真人「親父の字であると思うけど、自分の相続分を零とする分け方は納得できません」
当事者間においては、遺言書が無効であることにつき争いがなくなった。
杉浦「遺言とは別に当事者間で分割協議をして、まとまったということはないですよね?」
全員が頷いた。当事者間において、遺産分割協議が未了であることについても争いがないことが明らかになった。
「一部分割を求める理由は?」申立ての趣旨を確認
調停委員・石原「では、今回の申立ての趣旨について、申立人の真人さんにお伺いします。今回は、一部分割を求めていますけど、先に目録1、2の土地(キウイ畑)を分割したい理由を教えてください」
真人「親父の土地として、みかん畑とキウイ畑があるけど、キウイ畑を早く売却したいんだよね。僕は建築業界にいるんだけど、親父が亡くなってしばらくして、業者からキウイ畑を売ってくれっていう話も来ているんです。話をしたら乗り気で、買取りの見積書もくれました」
石原「他にも不動産として、みかん畑もありますが、それも今回の話合いの中で一緒に解決するということは考えていないのですか」
真人「遺産分割事件って、解決するのに何年もかかるって言うじゃないですか。みかん畑は斜面にあるので、すぐには売れないと思いますよ。だったら、買い手がいるキウイ畑だけ先に売った方が皆にとっていいんじゃないかなって思っている…」
なるほど、そういうことか。杉浦はうなずいた。
祐人「兄貴は『売る売る』って言っているけど、俺は売る気はないからな」
石原「ちょっと待ってください。今は、遺産の範囲を確認する段階です。分割方法は少し待ってくださいね」
石原は口論になりそうなところを割り込んでいった。
杉浦「真人さんの言い分は分かりました。確認しますが、遺産の全部を分割するというお気持ちはないんですね」
真人「全部分割を求める気持ちはありませんね。キウイ畑を早期に現金化して分割したいだけです」
石原「相手方の皆さんはどうしますか?」
鈴木「我々としては、農業の継続を望んでいるので、あくまでも全部分割を希望します」
真人「全部分割が終わるのを待つなんて、時間がかかりすぎるよ」
石原「ちょっと待ってください」
鈴木「全部分割は、利彦君を含めた相手方全員の総意です」
石原「双方のご主張は、大体分かりました。では、相手方の皆さんが主張される遺産の範囲をお伺いします。石原の言葉に双方が頷いた。
石原「真人さんはしばらく待合室でお待ちください」
真人は席を外した。
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