書記官による検認手続の説明
職員「相続人の方は全員お揃いですか?」
真人「あと1人甥がいるはずなんだが」
祐人「利彦君は学生なので、今日は来れません。欠席届を預かってきました」
祐人は、今朝、亜季から預かった欠席届を職員に手渡した。
職員「では、これから遺言書の検認期日を行います。担当書記官の浅野です。よろしくお願いします。
今回、検認する遺言は、2通の封筒ということになります。開封後、裁判官から皆さんに遺言書の文字がご本人の文字であるか、押してある印影がご本人の印によるものであるかを確認させていただきます。
その際は、何かと比べたりする必要はありません。ご自分のご記憶でお答えください。分からない場合は分からないと答えていただいて構いません。
お送りした書面にも書かせていただいたように、この手続は、遺言書の有効・無効を決める手続ではありません。間もなく裁判官が参りますので、しばらくお待ちください」
浅野書記官が脇机に移動したところに、裁判官が入室し、真人、祐人らに対し頭を下げ、席についた。
固唾をのんで見守るなか、ついに遺言書を開封
裁判官「では、これから寺田信太郎さんの遺言書の検認手続を行います。本件申立人の愛子さんの鈴木代理人、遺言書をお見せください」
鈴木は、鞄から2通の封筒を取り出し、裁判官に手渡した。
裁判官「発見したときの経緯と保管状況をお伺いします」
鈴木「はい。まず、信太郎さんの妻の愛子さんが仏壇を整理している際に、引き出しから発見しました」
裁判官「では、2通目の遺言書はどうですか」
鈴木「はい。先日、相続人全員で、かいこう銀行鶴岡駅前支店の“貸金庫”を開扉しにいき、貸金庫の中から見つけました。2通とも事務所の金庫において保管していました」
裁判官「分かりました。では、遺言書を開封しましょう」
裁判官から遺言書を渡された浅野は、慎重に、貸金庫に入っていた封筒にはさみを入れ始めた。
真人、祐人らは、息をのんで見つめていた。
「貸金庫にあった遺言書」の検認
裁判官は開封された封筒を浅野から受け取ると、中から数枚の紙を取り出して広げ、数秒、間を置いて読み始めた。
裁判官「『私、寺田信太郎は、
1 別紙不動産目録記載の不動産(自宅の土地建物)を長男真人に相続させる。
2 別紙不動産目録記載の不動産(畑3筆)を二男祐人に相続させる。
3 別紙預貯金目録記載の預貯金を三男隼人に相続させる。
4 三男隼人の妻亜季に介護をしてくれたお礼として別紙株式目録記載の株式を相続させる』
とあります」
愛子は、夫・信太郎が亜季の介護に感謝していると知り、ほっとした。
裁判官は、1枚目をめくった後、ちょっと間を置いて次のように説明した。
裁判官「紙全体につき、遺言書の第1項と第4項については左上から右下にかけて赤い斜線が引いてあります。不動産目録と預貯金目録の方には、特に斜線等の記載はありません。では、順番に、信太郎さんご本人の筆跡と印鑑であるかを確認してください」
全員が順番に遺言書を確認し、席に戻ると、裁判官は、浅野に対し、もう1つの“仏壇”で発見された遺言書を開封するよう指示した。
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