『Amazon Prime Video』や『Netflix』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用している人は多い。有料動画配信サービスに倣い、大手企業がサブスクビジネスを始めているが、解約率に頭を抱えるケースも少なくない。解約を止めるには、サービスの特長やメリットを正しく伝える。解約の意思が変わらないようであれば、サービスそのものの改善に取り組んでいく。デジタルマーケティングは日進月歩で変化し続けている。本連載は株式会社Macbee Planetエヴァンジェリスト・佐野敏哉氏がいまデジタルマーケティングで何が起きているか、分かりやすくレポートします。

キャンセル時、3分の1が再予約をした

また、レストランや旅行の予約は、物理的な席を日付でブロックする必要があるので、どうしても日付変更や人数変更に柔軟に対応できるシステムはまだまだ少ないのが現状です。ですから、予約の変更も、一旦キャンセルをしてから取り直さなければいけないというケースが多く、人数や日付など、変更した内容によっては、同じ店や飛行機を取れないケースも多々見受けられます。そういった一時的なキャンセルをどう企業もフォローするかは、大きな課題になっています。

 

佐野敏哉著『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』(幻冬舎MC)
佐野敏哉著『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』(幻冬舎MC)

実際、グルメサイトで日付や人数変更が原因で解約する人に対し、再予約のお願いをすると1/3の人がその場で再予約の手続きを行ってくれました。今までは、ユーザー側が率先して再予約のフローに移動することが必要とされてきましたが、タイミングよく、ちょっとしたサポートをすることによって、リテンションの成功率は大幅に向上することが分かりました。

 

新しい予約も、取り直しの予約も結果は同じ利益であり、お店への送客も同じ数字になります。他のリテンション施策同様、ここも新規の顧客を増やすよりは圧倒的なROIで予約をこぼさず、刈り取ることができます(このグルメサイトでは、まもなく日付や人数変更がシームレスにできるシステムを準備中)。システムの盲点から顧客の課題を見つけ出し、テクノロージーで解決するのも、リテンションマーケティングの醍醐味のひとつだと思います。

 

ただ、まだいくつかのサイトでは、ネットで予約はできるのに、キャンセルの手続きは店舗へ電話をしないといけないという謎のオペレーションが存在するサイトもります。通販でも多いのですが、電話の場合だと繋がらないといったことや、対応時間の縛りなどで、遠回しにキャンセルができなくなっていたりしています。

 

この点に関しては、電話で予約や購入ができるのであれば、電話のみのキャンセルでもいいかもしれませんが、ネットで予約や購入ができるのに、キャンセルは電話のみというのは顧客目線から外れているように感じます。

 

冒頭にも書いた、Go To Eatキャンペーンで行われていたような不正行為は、今後もある一定あるでしょう。だからと言ってネットにやってくるユーザーを先入観で疑い、セキュリテイーばかり堅牢化し、機械的なコミュニケーションを取ると、大きな損失をするでしょう。

 

どんな人でも「キャンセル」という行為は経験があると思いますが、多くの人は、「申し訳ない」と思ってキャンセルをしています。お客さんが「申し訳ない」と思ってキャンセルしていることを配慮してシステムを作ってもらえると、そこにお店の思いやりが感じられ、ユーザーのロイヤルティはきっと上がるでしょう。顧客の声や気持ちに、どれだけ向き合っていっているかで企業側の未来が見えるというとあるグルメサイトのお話でした。

 

佐野 敏哉
株式会社Macbee Planet エヴァンジェリスト

 

 

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