農業はスマート化で持続可能な産業へ進化する
みなさんは土を使わずトマトが栽培できるのをご存知でしょうか?
数年前からトマト栽培の選択肢として、土の代わりに特殊なフィルムを使うフィルム栽培があります。これは土を必要としないので、砂漠や汚染された土の上でも栽培を行うことができるという画期的なものになります。
「農業」という言葉を聞くと、土を耕して、汗水垂らして太陽の下、作業をし、収穫をするというイメージがありますが、最近の農業はこのようにテクノロジーが下支えをし、スマートで効率のよい産業へと切り替わってきています。最近では、あのトヨタ自動車も、農業支援のサービス展開をすすめており、農業支援の新規参入企業も増加傾向にあります。
2020年12月11日、Society5.0の名の下、スマート社会を目指すという国のシンポジウムが行われました。47都道府県さまざまな場所で開催されるのですが、今回、東京で開催されたテーマは、「スマート農業の加速化」でした。
最近は、国もこの農業のスマート化を推し進めており、サスティナブル(持続可能)な産業へと進化しつつあります。労働者の観点からも、最近では、若者も農業をという職業を親の職業と関係なく選択するケースが増えてきており、農業、農家をめぐる取り組みや動向に注目が浴びています。
このように、さまざまな企業が農業を支援していますが、その方法は多岐に渡っています。ドローンとGPSを使っての農薬散布やロボットによる農作業の自動化、IoTと呼ばれるインターネットと機械の連携、種や農薬の新規開発や新しい栽培方法の確立などです。加えて、最近は温暖化が原因とされる自然災害の被害増も大きな課題となっており、農家の方たちの選択肢や課題もさまざまです。
ここまででお気付きかもしれませんが、農家の方たちの効率化や自動化の選択肢は進んでいるものの、これらを学習し、取り入れ、使いこなすというプロセスは非常に大変です。
長野に本社をおく「カクイチ」という創業130年を超える企業があります。ここも昔からの農業用ガレージなどを中心に農家の支援を長年行ってきました。昨今は、ウルトラファインバブルという農業用の潅水装置を開発し、収量向上や品質向上のため各農家にご提供しています。
このウルトラファインバブル、栽培する農作物は100種類以上に渡るため、ボタン一つで自動化というわけにはいきません。土壌や地域、温度、品種などさまざまな要因に併せて、散水のタイミングや回数、散水量などのデータを日々IBMのWatsonに蓄積しています。