現代日本において多くの人が悩む「お墓」の問題。最近は「墓じまい」や「改葬」を迫られることケースも珍しくありません。しかしお墓には家族以外の人々も関わっており、伝統やしきたりも絡んでいることから、多くの一般人にとっては「わかりにくい世界」でしょう。墓じまいや改葬が必要となった時、一体なにから始めればよいのでしょうか? ※本連載は、樺山玄基氏の著書『令和時代のお墓入門』(幻冬舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

お寺への配慮も必要…改葬トラブルを防ぐマナー

こうして家族親戚と相談し、次の埋葬の仕方を決めてから本格的なお墓探しのスタートです。今のお墓がお寺にある場合は、このタイミングで改葬をしたい旨を、お寺の管理者にお話しするのが良いと思います。次の埋葬先が決まってから切り出すのでは、お寺にとっては急なことでもあり、決して気分の良いものではないでしょう。今までご供養をしてきたのに…と、こじれてしまう恐れもあります。

 

今あるお墓のお寺からは、改葬許可申請書という書類に署名捺印をしてもらわなければ改葬ができません。改葬を滞りなく進めるためにも、お寺に納得していただけるよう丁寧に対応していく必要があります。

 

具体的には、これまで供養してくださったことへの感謝をお伝えすること、そして改葬の理由も誤解のないようしっかり説明することが、トラブルを防ぐ最善策と考えます。

 

なお、改葬するにはほかに、自治体から改葬許可書や、埋葬証明書の交付を受けなければなりません。いずれも新しい埋葬先に提出するための書類です。今、お墓がある場所の市町村で申請に必要な書類を入手できますが、一生に一度あるかないかのことですので手続きにとまどう方も多いようです。改葬が決まったら早めに自治体の窓口に相談すると良いでしょう。

 

諸手続きが済むと具体的に墓じまいをすることになりますが、今のお墓が寺院墓地で、檀家の場合は、閉眼供養などの、墓じまいにおける法要を行うことが多いと思われます。改葬先が寺院で、檀家になる場合も同様に、納骨法要などの法要が必要になることが多いようです。

 

なお、墓じまいをしたあとのお墓があった場所は更地にしてお寺にお返しするのがマナーとされています。

「思ったよりかかる」という声も…どんな費用が必要?

費用については「今のお墓の墓じまいにかかる費用」と、「改葬先のお墓にかかる費用」に大別されます。ただしそれぞれ、お墓のある場所や改葬方法によって費用は異なりますので、一概にいくら、とはいえません。

 

例えば墓じまいの際、基本的に遺骨の取り出しやお墓のあった場所を更地にするには、それぞれ専門の業者に依頼する必要があり、費用も業者によってばらつきがあります。墓地によっては業者を指定するところもありますので、確認することが望まれます。

 

また、改葬といっても墓石ごと新しい場所へ引っ越す場合と、改葬先で新たに墓石を建てる場合では費用が大きく違ってきますし、改葬先で墓石を持たない(納骨堂や樹木葬など)場合もあるでしょう。改葬先までの距離にもよりますが、運搬費用も計算に入れる必要があると思います。

 

どの段階で、どれだけ費用が発生するかは、実際に作業をする石材店や、運送会社、墓地などに確認し、一覧表にするなど目に見える形にしておくと、後々「思ったよりかかってしまった」というような失敗を回避するのに役に立つでしょう。

 

さらに、それまで墓があったお寺に対しても、今までお世話になったお礼を差し上げます。これは「離檀料」とも呼ばれていますが、マナーとして、これまでの供養に対してお寺に支払う謝礼の意味合いが強いものです。特にルール化されているわけではなく、金額も決まっていません。

 

相場として法要の3回分が目安とされていますが、それまでのお寺とのお付き合いの深さによっても変わってくるようです。失礼にあたらないよう、心配であれば事前にそのお寺と古くから付き合いのある檀家等に相談するほうがより安心かと思います。

 

 

樺山 玄基

 

 

令和時代のお墓入門

令和時代のお墓入門

樺山 玄基

幻冬舎メディアコンサルティング

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