日本には「知らぬが仏」という言葉がある通り、秘密にすることによって穏便に事を済ませようとする文化がありますが、相続が発生すると状況は一変します。実際、富裕層の間では、まさに昼ドラのようなドロドロの相続トラブルが発生しているのです。新月税理士法人の佐野明彦氏が事例を紹介し、対策法を解説します。※毎年恒例、幻冬舎ゴールドオンラインの相続特集が開幕! 最新情報から大人気記事のピックアップまで、盛りだくさんでお届けします。

認知以外の方法で父子関係が認められる方法は…

認知以外の方法で父子関係が認められるには「嫡出推定」という方法があります。嫡出推定とは、生まれてきた状況などから「その男性の子供に違いない」と推定することです。たとえば結婚しているというのは「嫡出推定」が成立する大きな要素です。

 

ただしこれについても細かな規定があり、民法772条では結婚してから200日以内に生まれた子供については「嫡出推定」を行わないことになっています。つまり法律をそのまま適用すると、いわゆる「できちゃった婚」の場合には、夫はその子の父親だとは推定されない可能性があるのです。これは妻が結婚前に付き合っていた男性がいるかもしれないということを排除できないからです(いろいろな判例があり法律家にお任せする微妙な分野になりますが、父子関係に争いがなければ、現実的には結婚している二人の子供となるでしょう)。

 

このように法で定められた条件に当てはまれば「嫡出推定」が適用されます。そうでない場合には、法律的な父子関係を結ぶために「認知届の提出」という手続きを取る必要がでてきます。

 

非嫡出子は「嫡出推定」に必要な条件に当てはまらないため、父親の認知がなければ父子とは認められないのです。こちらの場合も細かな条件はありますが、父親側にその意思があれば認知は簡単にできます。役所に認知届を提出し受理されれば戸籍に父親として記載され、法的に正式な父子と認定されます。

 

認知して父子関係が成立すると、出生したときに遡って法律上の親子関係に基づく「相続権」や「扶養義務」が発生します。非摘出子であってもこの権利関係は嫡出子と同じです。

 

一般的に母子家庭の生活は不安定なものです。側にいて一緒に生活できないのであれば、最低でも認知という形で気持ちを母子に示すことが必要です。相続はそこからスタートとなります。

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妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

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佐野 明彦

幻冬舎メディアコンサルティング

どんな男性も妻や家族に隠し続けていることの一つや二つはあるものです。妻からの理解が得にくいと思って秘密にしている趣味、誰にも存在を教えていない預金口座や現金、借金、あるいは愛人や隠し子、さらには彼らが住んでいる…

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