「赤ペンで斜線が引かれた」亡父の遺言書…無効となるのか?

相続発生時、遺言や遺書の有効性についてトラブルが発生するケースが多発しています。知識を身につけ、もしもの時に備えましょう。今回は事例をもとに、一度書いた遺言書を撤回する方法を見ていきましょう。

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赤ペンで大きな斜線が引かれた遺言書は無効か?

Q.父親が亡くなりました。

 

その後、金庫から父の自筆証書遺言書が見つかりましたが、紙の左上から右下に向かって赤ペンで大きく斜線が引かれていました。ただ、斜線は引いてあっても遺言書のなかの文字ははっきり読める状況です。

 

私にとっては不利な内容の遺言書なので、無効と主張したいです。このような斜線が引いてある遺言書は無効にはなりませんか。

 

斜線の引かれた遺言書は、無効扱いになるのか?(画像はイメージです/PIXTA)
斜線の引かれた遺言書は、無効扱いになるのか?(画像はイメージです/PIXTA)

 

A.自筆証書遺言書に故意に本件斜線を引く行為は,民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当するというべきであり,これによりAは本件遺言を撤回したものとみなされることになります。

遺言書を撤回するという意思表示に見えるが…

自筆の遺言書に大きく斜線が引いてあった場合、常識的に考えれば、その斜線が本人の引いた斜線であるならば、その本人としては、

 

この遺言書は撤回する、不要である

 

という意思を有していたと思うのではないでしょうか。

 

しかし、こと自筆証書遺言書の内容の解釈については、遺言者の意思が重要ではあるものの、厳格な様式も重視されます。したがって、自筆証書遺言については、作成の段階においてのみならず、その変更や撤回についても法律で定められた様式を守っていなければいけません。

自筆証書遺言の撤回は、捨てる以外にも方法がある

では、一回書いた自筆証書遺言を撤回することについて、法律の規定はどうなっているのでしょうか。

 

まず、民法1024条は、遺言者が故意に遺言書を破棄した場合に,その破棄した部分について遺言の撤回があったものとみなす旨を定めています。そのため、一度書いた自筆証書遺言書を撤回したい場合には、捨ててしまうというのが手っ取り早い方法です。

 

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こすぎ法律事務所 弁護士

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。神奈川県弁護士会に弁護士登録後、主に不動産・建築業の顧問業務を中心とする弁護士法人に所属し、2010年4月1日、川崎市武蔵小杉駅にこすぎ法律事務所を開設。

現在は、不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理等に注力している。

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