メモや日記に被害内容を残し、「証拠」を確保
慰謝料請求として訴える、あるいは警察に被害届を出すことも考えられますが、争いになると証拠が必要になります。いつ、どこでどのようなことをされたかメモに残したり、抗議に行くときは録音するなどします。会社に相談する際も、客観的な証拠を確保しておくのが望ましいでしょう。
メモは、具体的に書くことが重要です。後から書き加えたものと、そのときに書いたものでは差が出ます。その日のうちに親や友人にメールなどで送信しておけば、より信頼性が高まります。
セクハラ防止のため、全事業主に求められる「義務」
企業規模や職場の状況を問わず、事業主は、職場でのセクハラ防止のために次の措置を行うことが義務づけられています。
●事業主の方針の明確化およびその周知、啓発
●相談や苦情に対応するための体制の整備
●職場のセクハラに対する適切かつ迅速な対応
●相談者のプライバシーを守ること
●セクハラの相談をしたことで、その相談者を不当に扱わないこと
「相手が嫌だと思えばなんでもセクハラになるの?」という疑問があがることがあります。これは、「性的な言動で、職場の人が嫌な思いをすればセクハラになる」という意味では正しいと考えられます。
そもそも通常、職場において「性的な言動」は業務に無関係です。それによって不快な思いをする人がいることはあってはならないことです。
もちろん、業務上必要な内容であれば、性的であってもセクハラにならない例外的な場合もありえるでしょう。たとえば、社内のセクハラ事案について調査をするために、被害者に被害状況を聴取する場合や、制服などを作るためにサイズを確認する場合などです。しかしそのような場合でも、できるだけ不快な思いが生じないよう、職場には最大限の配慮が求められます。
<関連条文>
事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)
2 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容
④「性的な言動」とは、性的な内容の発言および性的な行動を指し、この「性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が、「性的な行動」には、性的な関係を強要すること、必要なく身体にさわること、わいせつな図画を配布すること等が、それぞれ含まれる。
上谷 さくら
弁護士(第一東京弁護士会所属)、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長
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