育休は性別不問、夫婦一緒なら「1歳2ヵ月まで」取得可
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<あなたを守る法律>
【育児・介護休業法】第5条 育児休業の申出(一部抜粋)
3 労働者は、その養育する1歳から1歳6ヵ月に達するまでの子について、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。
【育児・介護休業法】第6条 育児休業申出があった場合における事業主の義務等
1 事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。
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育児休業(育休)を取得しなかった労働者に対し、なぜ取得しなかったかを調査したところ、「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」という回答が一定数あるようです。
育休は、性別を問わずに取得できます。育休の期間は「子が1歳に達するまでの間」と定められていますが、夫婦で取得する場合は1歳2ヵ月まで取得できます(パパ・ママ育休プラス)。妻が専業主婦でも、休業できます。
また通常、育児休業の取得は原則1回までですが、特別な事情がなくても、再度、育児休業が取得できる制度があります(パパ休暇)。これは、①子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること、②子の出生後8週間以内に育児休業が終了していることが条件です。
雇用保険に加入している人が、育児休業をした場合、原則として休業開始時の賃金の67%(6ヵ月経過後は50%)の給付を受けることができます(育児休業給付)。今後は、さらに80%まで引き上げることが検討されています。また、育児休業等をしている間の社会保険料が被保険者本人負担分および事業主負担分ともに免除されます。そのほか、経済的支援の制度が複数あります。
改正育児・介護休業法では、男性の育児参加を促すことを目的に、事業主に対し、小学校就学前の子どもを養育する労働者が、育児に関する目的で利用できる休暇制度などを設けるよう努力することを義務づけました。入園式や運動会などの行事参加を促すためです。
離婚に至る産後クライシス…男性の「育児不参加」の罪
産後2〜3年以内に夫婦関係が悪化する「産後クライシス」の原因の一つに「夫が育児をしないこと」が挙げられています。夫が育休を取得しても、家事や育児に十分な時間を割いていない「とるだけ育休」が、妻を精神的にいっそう追い詰めます。産後クライシスは離婚に直結しやすく、赤ちゃんを抱いて弁護士に相談に来るお母さんは少なくありません。
母親は妊娠・出産で体に大きな負担がかかっているうえ、出産後は授乳のこともあり、十分に睡眠を取ることもできません。
赤ちゃんが産まれたら夫婦でどのように家事や育児を分担するのか、できれば出産前から十分話し合っておきましょう。
心身ともにボロボロ…産後6~8週間にわたる「産褥期」
およそ10ヵ月にもおよぶ「妊娠」と「出産」によって、産後の女性は心も体も不安定な時期にあります。
出産後の産褥期とは「妊娠や分娩で変化したママの体が、妊娠前の状態に戻るまでの期間」を指します。分娩後6~8週間とされるこの期間はなるべく体を安静にするのが望ましいとされます。
【体のダメージ】
通常はこぶし大くらいの大きさの子宮は、妊娠で約15倍にまで大きくなります。それが産後の6~8週間をかけて、妊娠前の元の状態にまで戻っていきます。子宮からは悪露(おろ)と呼ばれる分泌液が血液とともに出ます。個人差がありますが、6週間後くらいまでには止まっている人が多いです。
さらにこの期間は、妊娠・出産で広がった骨盤の位置が戻ってきます。骨盤が緩んだ状態で歩き回ったり、赤ちゃんの抱っこなど重いものを運んだりすると、一気に体への負担が大きくなってしまいます。
また、夜中も数時間おきに起きて授乳しなければならず、十分に休む時間が取れません。ほかにも、赤ちゃんを抱っこしたり授乳したりすることで肩こりや腱鞘炎(けんしょうえん)になったり、悪露や不正出血の影響で貧血になったりなど、体に大きな負担がかかります。産褥期は、周囲のサポートが非常に大切な時期です。
【心のトラブル】
産褥期は心も不安定になります。「マタニティブルー」は産後のママの30~50%に見られる一時的な軽度の抑うつ状態を指します。涙もろくなる、気持ちが沈む、集中力が低下する、不安感、眠れないなどの症状が見られます。多くの場合2週間ほどで自然に軽くなります。
似たような症状が出るものに「産後うつ病」がありますが、その場合は早めの診断・治療が必要となります。気分の落ち込みや育児への恐怖感・不安感が2週間以上続く場合は、一人で我慢せず、医療機関を受診しましょう。
上谷 さくら
弁護士(第一東京弁護士会所属)、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長
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