
「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。
「一緒に見た矢沢しょーきちはすごかったな」
ノってみた! ハーハ!
在宅介護は、一人では到底成り立たない。そんな時、わが家の助っ人となるのが、「準夜勤ちゃん」と呼んでいるじーじの孫=私の娘の存在。なぜ準夜勤かというと、私と違って夜型人間。私が夜に仕事が入り不在の時や、私が寝たあとのじーじの監視役になっているところから、このネーミングとなった。

夜な夜な、「天皇陛下にお届け物を持って行く」と、一人外出を試みようとするじーじを発見してくれるありがたい存在なのである。ここからは、準夜勤ちゃんから聞いたじーじとの心温まるお話です。
じーじが夕飯を食べている時に、お気に入りのバンドが出演するので、音楽特番を観ていたら、矢沢永吉の幕張メッセからのライブ中継が映し出され「のってくれーはーは!」の掛け声。思わず「すごっ!」と、大きい声でリアクションしたらそれにつられて「こんなに人が入るのか!」と、あんまりリアクションしないじーじもびっくりした様子。
準夜勤も、矢沢永吉をちゃんと見るのは初めて、不滅の人気者はすごいと思っていたら
「これは誰だ」とじーじ。
「矢沢永吉って言って、日本一のロックスター」と説明したら、「こんなにたくさんの人がロックを観るのか」としきりに感心している様子。
「ロックはアメリカで流行っているんだよな? 日本にはこんなにロックがわかる人間がいたのか」となぜか、矢沢に大感動。
準夜勤は、矢沢永吉とお気に入りのギタリストMIYAVIが共演しているので大感動!
2人で「すごいね、すごいねって」言いながら、終わったあとに拍手!
じーじは、「日本にこんなすごい人がいたのか」とまたまた感動。「何年も歌っている伝説のロックスターは、オーラが違うね」などとじーじと盛り上がった。矢沢がどこでじーじの感性にヒットしたかは不明だが、音楽といえば、李香蘭の「支那の夜」ぐらいしか興味のないじーじを感動させた矢沢永吉ってすごい! というお話でした。
翌日感動さめやらぬ様子で、「一緒に見た矢沢しょーきちはすごかったな」と準夜勤ちゃんに話しかけるじーじ!
矢沢しょーきちじゃなくて「えーきち」だよ!
黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者
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