すると、その顧問税理士は…ありえない返答に絶句
すると、その顧問税理士は「何かって、何を?」「私にどうしろというんですか」と不機嫌になりました。私は内心、「この方は自分の仕事だけできればいいのであって、理事の先生方のことは気にかけていないのだな」と残念に思いました。
顧問税理士が自分から動く気配がないので、当時、私は最も簡単な対策として保険商品を使った節税のしかたをいくつか提案しました。保険を活用した節税というのは、取り立てて特別なテクニックでもないのですが、顧問税理士は「すごい商品があるもんですね。あなた何者ですか?」と言うのです。その反応を見て、私が逆にびっくりしてしまいました。
保険による節税効果を理解してもらえたと思ったので、「理事の先生方にもこの内容を伝えていただき、みなさんで検討なさってください」と言って引き取ったのですが……。それから数カ月後、「その後、検討はされましたか」と確認の電話を入れてみたところ、その顧問税理士は先生方に相談どころか、提案を受けたことすら伝えていませんでした。私ががっくり肩を落としたのは言うまでもありません。
その後も何度も医療法人に足を運び、顧問税理士とも少しずつ人間関係をつくって、3人の理事ともお話をさせていただきながら、先日ようやく一つ対策を進めることができました。しかし、これはまだ富士山の1合目です。3人の誰かに相続が起こるXデーまでに、何合目まで行けるのか……冷や冷やすると同時に気の遠くなる話です。
もう一つ、こんなエピソードもあります。
ある資産家の地主Fさんの相続の相談に乗ることになりました。Fさんは90歳を超えていますが、かくしゃくとして記憶力も判断力もしっかりしています。あるとき、いつものようにお宅に伺い話をしていると、彼女が「うちの空いている土地に福祉施設を建てる計画が進んでいる」と言い出しました。
聞けば銀行マンが不動産メーカーを連れてきて、「福祉施設を建てれば地域の貢献になる」「あなたのお孫さんはお医者様になられたのでしょう。いずれ開業なさることを考えても、今のうちから福祉施設を建てておくのは悪いことではないと思いますよ」などと、言葉巧みに営業トークをしてきたようです。