
毎年恒例、幻冬舎ゴールドオンラインの相続特集が開幕! 最新情報から大人気記事のピックアップまで、盛りだくさんでお届けします。……高齢化が進む日本社会。「認知症対策」は、もはやすべての家庭に共通する課題といえます。特に相続において、被相続人が認知症になって判断能力がないと判断された場合、法律行為が行えなくなるため、注意が必要です。そこで本記事では、税理士の廣田龍介氏が、実際の事例を用いて、認知症対策の大切さを解説します。
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周囲からも評判だった「大地主」のおしどり夫婦
相続税の改正内容を受けて、相続に対して意識を強めなければいけない方が増えることは間違いありません。しかし、現在の相続事情が抱える問題はそれだけにとどまりません。
では、最近増えてきた相続事情を見ながら解説しましょう。
文京区にお住まいのある大地主さんは夫婦2人暮らしで、景気が悪くなってもあまり地代の値上げをせず借地人さんから喜ばれ、周囲からも明るくていい夫婦と評判でした。
ところが寄る年波には勝てず、ご主人に認知症の症状が現れ始めます。時間帯によってひどい症状の時もあれば、突然我を取り戻したように話が理解できる時もある、といったことを繰り返すようになりました。
ある日、奥さんが住居と同じ敷地内にある蔵の荷物の整理をしていたところ、ご主人が中に誰もいないと思って表から鍵を閉めて閉じ込めてしまったのです。
地域で住民の援助を行っている民生委員も様子を見に来た時に「最近、奥さんを見かけないけれど病気でもしたの?」と聞いていたのですが、認知症が進むご主人の答えは「旅行にでも出かけたんじゃないかな」というような調子。
約半年後、奥さんは蔵の隅で白骨化した状態で発見されました。
新聞にも掲載された痛ましい事件でした。その後、ご本人も亡くなり、相続に関しては2人の息子さんで分けることとなります。いくつかの土地と建物の売却により、多額の相続税を納付されました。
