不動産投資においてしばしば見聞きする、業者の「悪質なやり口」。それを理由に躊躇する投資家も少なくありませんが、悪質業者を回避できれば、不動産投資は財産形成の最強の武器となるのです。ここでは、新築アパート投資がはらむリスクについて解説します。※本記事は、『サラリーマンを辞めたくなったら読む不動産投資の本』から一部抜粋・再編集したものです。

 

③10年後にやってくる「大規模改修」の壁

 

マンション1棟ではなく、その1室に投資するスタイルがあります。区分マンションへの投資で、私の投資法もこれに該当します。

 

区分マンションであれば、管理組合がオーナーである不動産投資家から毎月、修繕積立金(しゅうぜんつみたてきん)を徴収します。ですから、大規模改修があった場合も、その費用は修繕積立金から充当されます。よほどのことがない限り、大規模修繕にかかる費用を、オーナーが新たに持ち出すようなことはありません。

 

ところが、1棟買いのアパートの場合は、修繕費はオーナーが賃料から毎月、一定額をプールしておかない限り、すべてオーナーの持ち出しです。規模の大きさにもよりますが、10年おきくらいに500万〜1000万円の費用をオーナーが負担しなければなりません。アパート経営で毎月のキャッシュフローがわずかしか出ていない状態で大規模修繕の時期を迎えると、困難を極めます。

 

大規模修繕を少しでも安く上げようと、数社に掛け合って見積りを出させても、投資時の契約で「購入した会社でしか修繕できない」と明記されている場合もあります。その契約を反古(ほご)にして強引に大規模修繕を推し進めれば、サブリース契約をしていた場合は、それを解除するなどのペナルティを課せられるかもしれません。

つまり、新築の1棟マンションやアパートへの投資の場合、不動産販売会社は、建築したときと修繕時に利益を二重取りできるようにしているのです。

 

なお、サブリース契約で販売会社にマイナスが生じた場合でも、一定期間がすぎれば、前述の契約の見直しなどをオーナーに迫ることもできます。そうすればマイナスは解消できますから、販売会社は懐が痛むことはありません。

 

④22年後、忘れた頃にやってくる「減価償却費」の壁

 

マンションやアパートには「耐用年数」というものが定められています。新築のうち、最もその期間が短いのは木造アパートの22年。つまり、新築アパート1棟に投資した場合、22年間は毎年、減価償却費をその年の利益から差し引いて不動産所得を計算し、納税するわけです。

 

不動産投資のメリットは、このように、購入年の翌年の利益から実際には払うことのない減価償却費を差し引けることです。それは机上の計算とも言えますが、実質的に利益を確保しやすいという点で優位性があると言えます。

 

また、ローンがあれば、そのうちの利息部分は経費とすることができ、これも収益から差し引いて利益を算出します。

 

その状況で、耐用年数を超えると、利益はどうなるでしょうか。毎年の利益から減価償却費を差し引けなくなります。そのうえローンがある場合、ローン残高が下がることにより毎月のローン返済金額は同じなのに利息部分が減り、経費計上金額も減ってきます。

 

これがダブルパンチとして影響し、利益を減らせなくなるのです。そこで納税負担が増し、資金繰り、キャッシュフローが一気に悪化します(なお、本書で述べるキャッシュフローは、会計上の定義とは異なり、「不動産投資などが生む現金」とお考えください)。

 

それまでわずかなキャッシュフローで何とか経営できてきた場合でも、この時点で一挙に赤字転落。キャッシュフローもマイナスで、不動産投資は成り立ちません。新築の不動産投資には、このような壁もあるのです。

たび重なる「4つの壁」を乗り越えられるか?

新築のアパート経営をする場合は、これらの4つの壁が乗り越えられるかどうかを判断して始める必要があります。次から次へと襲いかかる壁。その壁の前で疲れきってしまった不動産投資家は私の回りにも何人かいます。うまくいっているときはまだしも、いったんこれらの壁にぶつかると、一挙にキャッシュフローが悪化し、何のための不動産投資かと途方に暮れてしまうのです。

 

私の個人的な結論は、「新築アパートで長期に、安定的に収益を確保することは不可能」。そう、はっきり断言できます。その境遇にある人を見てきたうえでの教訓は、次のようなものです。

 

【教訓】

★ㅡ好立地なところに土地をすでに保有しているなど大きなストロングポイントがないと、新築アパートで利益を出すことは困難。
★サブリース、大規模改修、減価償却費、ローン利息分の経費処理まで含めたトータルの収益について検討が必要である。

 

台場 史貞
不動産投資家

 

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