コミュニケーションは医療を維持・向上にも役立つ
ご存知の通り、研修医や若い看護師などは、SNSを多用し若い人同士での情報交換を盛んに行っています。今の時代は、それまででは知り得なかったような病院内だけのオフレコ情報であっても、あるきっかけでSNSにアップされ、一瞬で世の中の周知の事実になってしまっていることも、十分に考えられるのです。
昭和の上意下達であった時代とは大きく異なり、令和の時代は、若手が本当のところどんなことを考えているか、不満や希望等を含め幅広く本音を語ってもらうようにすることは、病院運営の根幹をなすといっても過言ではありません。ですから、若手と普段からしっかりとコミュニケーションを取り続けることが、非常に重要な時代になってきていると考えるべきです。
病院経営者や幹部クラスの医師たちがこぞってコミュニケーションスキルを学び、きちんと若年層の医師やコメディカルスタッフの話を聴いて、それを反映する風通しのいい環境は作っていければ、思っている以上に臨床現場の雰囲気を変えることが可能です。
そのよい「雰囲気」は患者さんや地域の住民の方々などにも、確実に伝わっていくことでしょう。職場の雰囲気が良くなれば、貴重な医師・スタッフ・職員が退職しようと思わなくなり、その病院の医療レベルを維持・向上させることができます。そして、退職者が少なくなれば、中途採用などにかかる費用も格段に抑えることができるようになり、病院運営もますます良好になっていきます。
そういった意味でも、病院経営者が率先してコーチングなどのコミュニケーションスキルを病院内に取り入れていくことの効果は絶大だと、私自身がコーチングを活用し始めてからの変化を実際に経験してみて、強く感じております。
●「医師の働き方改革」は時間だけでなく働くモチベーションも生み出す
●若手活用のためにも、リーダー的役割を担う人のコミュニケーション力は重要であることを心得る
佐藤文彦
Basical Health産業医事務所 代表