日本人にとってアートは「一部の愛好家のもの」という認識が強くあります。一方世界、特に欧米では、絵画をはじめとするアート作品は実物資産として富裕層を中心に身近な存在です。またグローバル企業のなかにはアートで美意識を磨き仕事に活かすという流れがあり、富裕層のみならず、一般層にもアートの興味・関心は広がりつつあります。本連載ではShinwa Auction株式会社の高井彩氏が、アートを身近に感じることのできる美術館や展覧会をレビュー。見所や展示されているアートの市場価値などを紹介していきます。今回取り上げるのは、戦後の具象絵画の代表的な画家「ベルナール・ビュフェ」。

マーケットプライスは人気に応えて高額に

ビュフェは美術市場でも人気の高い作家で、日本人コレクターも数多く存在します。

 

人気ゆえに贋物も散見される作家ですが、ビュフェの画業をサポートしていたモーリス・ガルニエ画廊が鑑定業務を請け負っており、真贋調査が行いやすい作家です。

 

主な近日のオークション結果は下記のようになります。

 

《Le cri》

(キャンバスに油彩/縦130×横89cm/1970年作)

無表情で、口を大きく開けた白塗りのピエロの肖像。背景は鮮烈な黄色で画題は叫びの意。42歳の作。

セール日:2020年7月8日

オークションハウス;Sotheby's Hong Kong

エスティメイト:3,000,000-6,000,000 HKD

落札価格:4,000,000 HKD(約5,500万円)

 

《La Maison rouge》

(キャンバスに油彩/縦84×横134cm/1964年作)

森に建つ赤い屋敷の風景画、36歳の作。

セール日:2020年11月19日

オークションハウス;Sotheby's New York

エスティメイト:50,000 - 70,000 USD

落札価格:119,700 USD (約1,200万円)

 

《Nature morte devant la fenêtre》

(キャンバスに油彩・鉛筆/縦116×横81cm/1948年作)

開いた大きな窓のある部屋に魚と花瓶が置かれたテーブルがある静物画。初期によくみられるくすんだ白色で全体がまとめられている。20歳の作。

セール日:2020年10月23日

オークションハウス;Christie's Paris

エスティメイト:100,000 - 150,000 EUR

落札価格:103,750 EUR (約1,300万円)

 

《BOUQUET DANS UN PICHET》

(キャンバスに油彩/縦73×横54cm/1999年作)

赤・黄色の花が生けられた花瓶の卓上静物、激しい線で描かれた最晩年の作。

セール日:2020年10月14日

オークションハウス;Sotheby's London(サザビーズロンドン)

エスティメイト:60,000 - 80,000 GBP

落札価格:163,800 GBP (約2,200万円)

 

《Fleurs bleues et jaunes dans un pichet》

(キャンバスに油彩/縦100×横73cm/1964年作)

青・黄色の花が生けられた花瓶の卓上静物で背景は白。36歳の作。

セール日:2020年10月8日

オークションハウス;Christie's New York

エスティメイト:50,000 - 70,000 USD

落札価格:112,500 USD (約1,200万円)

 

ペインティングはやはり高値ですが、版画は国内のオークションハウスでも流通量も多く、競り合う相手がいなければ5万円程度で入手できることもあります。

 

展覧会は2021年1月24日まで。展覧会特設サイトにて同館の新型コロナウイルス対策をご確認のうえ、お出かけください。

 

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