「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

「8万円くれ。自動販売機で缶コーヒー2本買う」

じーじプレゼンツ、爆笑シリーズ

 

認知星人が言い放った爆笑シリーズをご紹介!

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

海苔とふりかけ

 

「おい、ここにあった海苔とふりかけどうした?」
「海苔? ふりかけ?」
「ここに置いてあった、旅館の朝飯の時によく出るビニールに入っている海苔と、わかめのふりかけだ」
「……」


さっこ(私の母)に持って行こうと思って置いておいたのに、ないじゃないかと、すごい勢いでご立腹。

 

「いつ置いてあったの?」
「1年前だ」

 

……1年前かい!

 

1年前に置いてあったって言われてもなあ~と思いつつ、女房(特別養護老人ホームに入所中)を思うじーじのために、海苔とふりかけを買いに行ったのであった。

 

デイサービスの缶コーヒーは1本4万円

 

「今日は寒いから、セーター着る?」
「ヒーターなんか着られるわけがないじゃないか。何を言っているんだ。お前は変なことばかり言うな」と、またまたご立腹。

 

「それより、8万円くれ。自動販売機で缶コーヒー2本買うから」
「へ?」

 

デイサービスの缶コーヒーは1本4万円するらしい(笑)。

 

俺宛ての荷物じゃない

 

じーじを一人にして、ほんの数分買い物に行ったあいだの事件!

 

「この住所は黒川さんですよね~」ってクロネコヤマトと佐川急便から立て続けに電話が入った。

 

「はい! そうですよ」と答えると、「今、荷物をお届けに行ったんですが、お出になられたおじいさんが『違います』と言って受け取ってくれなかったもので」

 

急いで帰ってじーじに理由を聞いてみると、

 

「俺宛ての荷物じゃない!」

 

確かに! 正しい!(笑)。

 

島崎藤村

 

デイサービスから16時に帰ってきたじーじは、すぐにお昼寝。それも爆睡状態。数時間後、ごそごそ音がするから見に行くと、デイサービス用のカバンを取り出し、背広を着る準備をしているではないか。

 

「今は夜だからね。デイサービスは明日行こうね」
「まだ、夜明け前だ」

 

……島崎藤村か!

 

じーじと私は、毎日コントのような会話を繰り返しているのであった。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

黒川 玲子

海竜社

わけのわからない行動や言葉を発する前に必ず、じーっと一点を見据えていることを発見! その姿は、どこか遠い星と交信しているように見えた。その日以来私は、認知症の周辺症状が現れた時のじーじを 「認知症のスイッチが入っ…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録