ビジネスモデルも広く深くなければ存続できない
このように、到達地点が異なるビジネスとアートは一見、まったく異なる世界ですが、ビジネスに関わる人にとって、なぜアートを学ぶべき価値があるといえるのでしょうか。
それは、人間社会の課題が広く、深くなっていく時代において、ビジネスの課題の立て方(ビジネスモデル)も広く、深いものでなければ、息の長いビジネスとして存続できないのではないかと、私は考えるからです。
昨今、アーティストのように思考する「アート思考」が注目を浴びていますが、正直なところアート思考の本来の意味が間違って解釈されているために、アーティストの本来の能力が低く見積もられていることに強い懸念を感じています。
本連載において、アーティストとは何なのか?アートとは何なのか?をひもときながら、ビジネスパーソンが学ぶべき「アート思考」の本質をお伝えできればと思います。
決して、正解が存在するわけではありませんが、私が直島時代からお付き合いしてきた世界的アーティストたちに共通する見方やアートに対する姿勢も含めて、ご紹介することで、世界の第一線で活躍し続けるアーティストの思考を少しでもお伝えできればと考えています。
秋元 雄史
東京藝術大学大学美術館長・教授
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