「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

LED線香、ロウソクをネットで即注文

家がお寺事件

 

月曜日から土曜日でデイサービスに出勤(利用)しているじーじの帰宅時間は17時。この日、私は仕事で遅くなるため、準夜勤ちゃん(私の娘)にお出迎えを依頼。しかし、彼女の帰宅が15分遅くなった間に事件は起こった。

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

「ママ、ママ大変、家がお寺になってる」
「お! 落ち着け、家がお寺ってどーゆーこと?」

 

じーじは年中、わけわからんことを言うが、娘もか!

 

「じーじが仏壇に置いてあったお線香を全部焚いちゃって、家中煙だらけで、仏壇は灰だらけ」

 

……そういえば、フーテンの寅さんが「結構毛だらけ猫灰だらけ」って言ってたな、なんて思っている場合じゃないらしい。

 

「お線香立てを触ったらしくて、じーじは手を火傷している」

 

最近、仏壇にお線香をあげるのは私のお役目で、じーじは触りもしないので安心していたが、仏壇には、ろうそく+ライター+お線香=火事という方程式があることを忘れていた。

 

家に帰ると、じーじは仏壇の前でうなだれて、ピクリとも動かない。ことの重大さに反省しているのかと思いきや。「最近の線香はなんでこんなによく燃えるんだ」とご立腹。いやいや、何十本もまとめて火をつければそりゃ~よく燃えるでしょうと言いたかったが、そこはぐっとこらえた。

 

「火傷したんじゃないの? 大丈夫」
「未果(私の娘)にペニシリンを塗ってもらったから大丈夫だ」
「(心の声)オロナインじゃないんかい」

 

その昔、ペニシリンの製造開始に関わっていたことがあるらしいので、最近では、自分が服用しているワーファリン*以外の薬はすべてペニシリンと言うのだがまあ気にしない。

 

もうお線香を焚かないでねと言ったところで、「はい」と言うわけもないので、LED線香とロウソクをネットで検索したところ、なんと、浄土真宗向けの寝かせ線香タイプのLED線香煙や、香りまで出るものまである。世の中便利になったものだと感心している場合じゃない。いつ、ガスコンロに火をつけるかわからないので、ガスの元栓を閉め、家中の着火可能と思われるものを隠したのであった。

 

ワーファリン
血液をさらさらにする薬。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

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