2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの中小企業が苦境にあえいでいます。そのような状況のなか、企業が再生していくために必要なものはなんなのでしょうか。また企業が再生できず、破綻に追い込まれる原因はなんなのでしょうか。考えていきましょう。※本連載では、企業再生のスペシャリストである坂本利秋氏が、中小企業が経営難を乗り切る方法を解説していきます。

そもそも、なぜ中小企業は「破綻」を迎えるのか?

何度も破綻という言葉を使用していますが、ここで資金繰り破綻が起きるメカニズムを説明します。

 

財務視点では、過大な借入、継続する赤字、運転資金不足が原因にも思えます。事実ですが、少し不足しています。さらに原因、いわば原因の原因ともいうべきものがあります。

 

過大負債を生む原因は株式購入、不動産購入、設備投資などがあり、継続的な赤字は販売不振、原価率が高い、販管費率が高い等の原因があります。

 

株式購入、設備投資などは確かに原因ですが、さらにその原因はないのでしょうか。企業再生の現場にいると、「事業戦略上の必要性により株式を購入した」というケースが以外に少ないことに気づきます。それよりも「あの会社は株でこんなに儲かったらしい。負けてられない」「自分には投資の才能がある」等の見栄や過剰な自信が原因のことが多いものです。

 

設備投資も同様です。「販売先の要請に従い工場を増設した」というケースももちろんありますが、株式購入ほどではないとはいえ見栄や虚栄心が原因となるケースもあります。

 

筆者としてはこの段階こそが真の破綻の原因だと考えます。つまり事業戦略上の必要性、販売先の要請、見栄、虚栄心等です。種類の違う言葉が並んでいて気持ち悪いですが、これを頭の問題と心の問題に分けるとクリアになります。

 

換言すると、「頭で考えた見通し等の誤りが原因であった」、「心の隙間に生まれる見栄・虚栄等が原因であった」に分けることができます。この頭と心の間違いが真の原因となり、やがて株式投資、設備投資の失敗となってあらわれ、それらが原因となり借入が過大となり、最終的には資金繰り破綻に至ると考えています。ちょっとした心の隙間が原因で破綻に至るとは恐ろしいですね。

 

 

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