先祖代々の農業を継ぐつもりの長男が事故に遭い、働けなくなりました。父が亡くなったあと、不動産をすべて相続するつもりでしたが、遺産分割協議の席での発言がほかの相続人を激怒させ、その後の話し合いが進みません。どうしたらいいのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

不用意なひと言で妹たちが激怒、電話もできない状態に

財産のうち、自宅とごく一部の土地以外は、市街化調整区域となっている農地です。現金もほとんどありません。そのため、2人の妹と弟に分けられる土地はありませんが、いずれにしろ全員家を出ているため、不動産は長男の市川さんがすべて相続し、ほかの相続人にはいわゆるハンコ代として気持ちばかりの現金を分けるつもりで考えていたとのことでした。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)


父の葬儀後しばらくして、市川さんは実家に家族が集まった際、2人の妹に財産分与の話を切り出したのですが、市川さんが話の流れのなかで発した「2人は市川家の人間ではなくなったのだから」という言葉に、妹2人が激怒して帰ってしまい、遺産分割の話がとん挫してしまいました。


その後、市川さんがいくら電話をしても、声を聞いただけで切られてしまうなど、まったく話し合いにならない状態となってしまったのです。感情的なもつれが、当事者同士のみの力では解決の糸口が見えないほどこじれてしまったため、頭を抱えた市川さんは、遺産分割協議の調整を筆者に依頼しようと考えたのでした。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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