介護業界で働いている職員は全員「負け組」か
ただし、冷静に考えた場合、介護保険制度が始まったばかりの頃と比べると、老人ホームは比べ物にならないほど増え、入居者もとても多くなりました。
介護職員の人数も比べ物にならないほど増えています。量が増えれば、当然、中身は多様化し、さまざまな人たちが入ってきたために、質の悪い人たちも目立ってくるのではないでしょうか。だから、介護職員が劣化してきたとか、クレーマーのような入居者が多くなってきたのでは、と思います。つまり、質の悪い職員や入居者の比率は変わらないものの、分母が増えているので絶対数も増えているということになるのです。
彼らの多くは、目指して職員になったわけではない
最近は、新卒採用に力を入れている老人ホームも多いのですが、それでも、多くの老人ホームの介護職員は中途採用者ということになります。つまり、異業種からの転職組が目立ちます。彼らは、当初から、介護職員になりたくてなった人たちではなく、諸事情の中で、途中から介護職員になった人たち、ということだと思います。
さまざまな職場を転々とし、行き着いた場所が介護職員だったり、中高年になって、勤務先の事情が変わり行き着いた先が介護職員だったりしているのが、現実ではないでしょうか。
何を隠そう、私自身も立派な転職組です。私は、大学卒業後、大手不動産会社に就職しました。約10年間、不動産の営業実務を担当しましたが、仕事を通して、私が感じたこととは何か。それは、これからの不動産業界で生き残るには、金融スキル(不動産の証券化の促進、インカムゲインやキャピタルゲインを理解する能力とセンス)が重要だということでした。つまり、これからは、金勘定や金融知識に長けていないと、不動産取引で優位に立つことはできない、と。
はたして、今の自分に、このスキルはあるのだろうか? また、このスキルを身に付けるだけの下地を有しているのだろうか……。
私は、周囲の同僚や先輩を見渡し、さらに競合他社の知人のレベルを確認もし、明らかに自分は劣っている、今のままでは、将来の展望は開けない、と判断したので転職を決意しました。
老人ホームの管理者の中には、親会社の会社員として社会人生活をスタートさせ、ある日突然、子会社の老人ホーム勤務を命じられ、施設長をやっている人も多く存在します。私の知り合いにも、このような施設長がいます。本当は、こんなはずではなかったのに……。介護なんて興味もなかったのに……と思って仕事をしている施設長がいるのも、事実です。
批判を恐れずに言えば、私自身も含め、介護業界で働いている人たちは、皆、「負け組」だと思います。元は医療業界、金融業界、製造業界、サービス業界、不動産建設業界などなど。このような業界から、リストラされたり、自らドロップアウトせざるをえない人たちが、仕事を求め、介護業界に流れ着き、結果、たくさんの人たちが働いています。
小嶋 勝利
株式会社ASFONTRUSTNETWORK常務取締役
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