「患者が戻ってこない」が紹介の足かせに
「糖尿病支援入院」のスタートに際して医局員達からさまざまなフィードバックをもらいながら、「働き方改革」を進めていくことの大切さを改めて感じました(第6回参照)。加えて、「糖尿病支援入院」に患者さんをご紹介いただき活用してもらうためにも、プライマリケア領域の診療に励まれている地域の開業医の先生へのヒアリングも進めていきました。
ただ、他の医療機関の先生ですから、まとまった時間を確保してもらうのは簡単ではなさそうです。そもそもお会いできる機会すら多くはありません。
そこで私が活用したのが、医師会などでの勉強会です。時に、このような場で我々が行っている糖尿病診療の現状や、治療方法についてプレゼンテーションをすることもありました。
その際に開業医の先生方が
(1)日々どのように患者さんと接しているか
(2)糖尿病診療のどのようなことで困っておられるか
(3)静岡病院に対してどのように感じておられているのか
などを、率直にお話いただけるように傾聴に徹しました。ここでも、コーチングの手法を大いに活用しました。そしてここで得られたフィードバックを基に、その後の施策をどんどん練っていきました。
このフィードバックの中には、「患者さんを紹介しても、その後患者さんが自分のクリニックに帰ってこないので、正直医療連携には前向きになれない」といった複数の先生方からの耳の痛いご意見もありました。これは、当院に限らずどこの地域の医療連携でも見られる課題だと思います。
開業医の先生方の立場としては、患者さんのその後の経過が気になるのはもちろんですし、経営者として自院の患者数が減ってしまうことを見過ごすわけにはいかないのも当然でしょう。そこで我々は、まずは自分たちから積極的に「逆紹介」することを推し進めることにしました。