「コロナ不況により、派遣社員の雇い止め」といったニュースを目にする機会が多くなりました。株式会社プレジデントワン代表取締役である松久久也氏は、著書『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』(幻冬舎MC)にて、派遣社員や契約社員を多く抱える企業は「未来力をつくり上げるための機会を損失している」と述べています。今回は、「成長する企業」が人材に対してどのような考えで接するべきか、解説します。

すべての社員を「正社員」にしたらどうなるか

すでに述べましたように、もし全ての社員を正社員として価値ある教育機会を提供すれば大きな効果を得ることができます。しかし正社員のみに機会を提供し、派遣社員や契約社員にその機会を提供しなければ、彼らが成長することによって得られたであろう利益を失うことになります。

 

つまり、派遣社員や契約社員の人数分だけ未来力をつくり上げるための機会を損失したことになります。

 

派遣社員、契約社員が多いほど…(画像はイメージです/PIXTA)
派遣社員、契約社員が多いほど…(画像はイメージです/PIXTA)

 

景気の波へ対応するために派遣社員や契約社員に依存するのではなく、人を育て上げ、景気の波を乗り越える資産力をつけることこそ、人口減少社会、市場縮小社会にふさわしいあり方だといえます。

新入社員は、なぜ会社や上司への不満を抱えやすいのか

入社したての新入社員の目に映る先輩社員は日々忙しく最新の情勢や知識を学ぶ時間がないため、意欲的で若い自分のほうが深くものを考え、時代をよく知っていると早合点することが往々にしてあります。

 

「こんなこともできない」「あんなことも会社はできていない」「先輩社員はいったい、どうなっているんだろう」とあたかも自分が一番もの知りだと錯覚することがあります。

 

自分の意欲と知識を発揮する機会を得られず、悶々とする若い社員もいることでしょう。「会社はわかっていない」と思っているかもしれません。理詰めでものを考える人には、会社の人たちがやっていることはとても稚拙に見えます。

 

しかし、時間経過とともにそれは早合点であることがわかってきます。世の中には簡単に思えても、うまくやれないことが多いのです。また、新人の頃は難易度の高い業務を達成するには、周囲の人々が理解するのに苦労するような複雑なことがカギを握っていると考えがちです。

 

優秀な新人であればあるほど、ものごとを難しく組み立て、それを実践しようとする傾向があります。簡単なことには興味を持てないという心理も働きます。しかし、社会に出たばかりの自分の未来は前途洋々で最も可能性を秘め、複雑で高度なことが世の中を動かす原動力となるという考えが間違っていることにいずれ気づくときがやってきます。

 

「つまらない」壁を数多く経験していくうちに、優秀だと思っていた自分は消え、自らが「新人のときに凡庸だと思っていた先輩」のようになっていくのです。

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確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす

確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす

松久 久也

幻冬舎メディアコンサルティング

人をコストとみるか。資産とみるか。その選択が、会社の明暗を分ける! 日本は超高齢社会を迎え、労働人口は目に見えて減少。年金財源の枯渇を防ぐべく、定年引き上げを実施する企業も増えている。今こそ「貴重な人材をどのよ…

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