生産性を向上させるには、どんな工夫が必要なのか
就業時間内での社員教育は重要ではありますが、年間総労働時間1740時間の全てを使うことはできません。ある限られた時間で労働生産性を上げていかなければならないのです。何ら工夫をすることなく、現在の能力をいくら絞り出そうとしても生産性が改善されるということはありません。それは与えられた仕事を経費としての人間がこなすだけだからです。
生産性の改善は仕事の質の改善の結果ですから、創意工夫が必要となります。指示待ち社員が多い企業が生産性を改善し、国際水準に近づくことは不可能です。創意工夫、柔軟性、人間に対する理解、倫理観、感情への対処など人間の基本にかかわることを放置したままで生産性を改善することは難しいと考えなければなりません。
高い能力はあるが仕事で発揮できない社員…なぜなのか
近年、リテラシー(読み書き能力)、情報リテラシー、英会話、各種資格などの専門知識があれば仕事をこなすことができると考える風潮があります。しかし、こうしたテクニカル・スキルだけでは不十分なのです。
たとえ、これらを身につけたとしても人間に対する深い理解力が不足していれば企業の未来を生み出すことはできません。高い能力を有しながら企業内でそれを発揮することのできない人が多いのは、こうしたことに起因しているのです。
相手がものごとをどのように感じ、考え、判断し、行動に移すのかを想像し、理解することで仕事はうまく流れていきます。しかし、人間に対する理解力が不足していては、どれほど専門知識を振り回してもよい結果を得ることはできません。
時間単価を上げる、つまり給料の2倍の働きを3倍にするということは、実は人間に対する理解と深い因果関係があるのです。しかし、今まで身についていない性質を獲得するということは簡単にできるものではありません。
「習慣づけ」が、社員を大きく成長させる
では、どのようにすれば身につくのでしょうか。それは同じことを何度も学んではじめて身につくといえます。古代ローマの哲学者、キケロは次のように言っています。