「コロナ不況により、派遣社員の雇い止め」といったニュースを目にする機会が多くなりました。株式会社プレジデントワン代表取締役である松久久也氏は、著書『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』(幻冬舎MC)にて、派遣社員や契約社員を多く抱える企業は「未来力をつくり上げるための機会を損失している」と述べています。今回は、「成長する企業」が人材に対してどのような考えで接するべきか、解説します。

社員を「精神疾患」にさせないためには…

心と体に不調をきたしますと、残念ながら人はネガティブな資産となってしまいます。決算書でいえば負債勘定となります。どれほど有能であっても休職するような事態になれば資産としてではなく、負債として企業の未来力を削いでしまいます。それが1年を超えるような長期の休職であれば、その人の人件費相当額が長期負債となってしまいます。仮に短期であっても、その期間相当分の人件費が流動負債となります。

 

厚生労働省は2011年、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病に精神疾患を加え5大疾病とすることを決定しました。5大疾病の中でも精神疾患は最も多く、その患者数は323万人に上るといわれています。

 

精神疾患に悩まされる社員を抱えているという企業もめずらしくなくなりました。2014年5月現在の就業者数6397万人のうち5%が何らかの問題を抱えているともいわれています。みなさんもお心当たりがあるのではないでしょうか。

 

そうした問題に対処するためにはまず、企業は人を経費としてではなく資産であることをしっかりと認識しなければいけません。資産である以上、さらに磨きをかけることが必要です。そのために対話の頻度を上げるだけでも患者を減らすことができるのではないでしょうか。

派遣社員や契約社員は「会社の資産」なのか?

人を資産として育て上げようとする場合、派遣社員や契約社員と資産との関係について深く考えなければなりません。派遣社員や契約社員を企業の資産として育てることができるか、実は私は疑問があります。なぜなら派遣社員や契約社員は景気の波を見越したバッファとして活用されてきたからです。

 

先行きの見えない中で人材を抱えるのはリスクがあると考え、正社員を採用せず派遣社員や契約社員に依存する形の経営が長い間続いてきました。固定費のリスクを変動費で回避しようというのが狙いで、派遣社員や契約社員の雇用は明らかに人をコストとしてみなしています。

 

彼らは商品やサービスを生み出すための原材料として位置づけられています。机を並べ同じ仕事をしていても、経営管理者は派遣社員の能力を磨こうとはしないのです。これは構造がもたらす問題であって、個人の能力に原因があるわけではありません。構造上の問題から、企業は派遣社員や契約社員に多大な教育時間を投資し資産として育て上げることはしないのです。

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確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす

確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす

松久 久也

幻冬舎メディアコンサルティング

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