アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、そして日本の先進七ヵ国で比較すると、日本の労働生産性は断トツ最下位。アメリカと比べて、6割程度の労働生産性に留まります。企業経営において、いかに労働生産性を上げていくかは、事業継続の観点でも重要です。今回は、株式会社プレジデントワン代表取締役である松久久也氏の著書『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、労働生産性向上のためにも、企業は人材教育に時間を割くべきである理由を解説していきます。

社員の能力開発は、誰が行うべきなのか?

日本の労働生産性はOECD加盟諸国の中で平均以下ではありますが、人を資産として育て上げれば労働生産性を引き上げることも可能です。

 

日本の労働生産性を引き上げるには?
日本の労働生産性を引き上げるには?

購買力平価で出された2012年OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性指数は、[図表1]の通りです。

 

[図表2]OECD加盟諸国の時間当たりの労働生産性

 

ランキングでは4位ですが、やはり米国がベンチマークになるのではないでしょうか。米国が64.1に対して日本は40.1で、実に1.6倍の差があります。この数字を見れば日本の生産性がいかに低いかがわかります。現状に甘んじていては、この大事な事実を見過ごしてしまいます。

 

松下幸之助氏は次のような言葉を残しています。

 

皆さんの月給がかりに十万円であれば、十万円の仕事しかしなかったら、会社には何も残らない。そうなれば会社は株主に配当もできないし、国に税金も納められない。だから、自分の今月の働きが、はたしてどのくらいであったかということを、常に自分に問うていく必要がある。

 

もちろんどの程度の働きが妥当であり、望ましいかということはいちがいにはいえないが、まあ常識的には、十万円の人であれば少なくとも三十万円の働きをしなくてはならないだろうし、願わくば百万円やってほしい。(松下幸之助著『社員心得帖』PHP文庫)

 

年間総労働時間が1740時間の企業が収支トントンを目指すならば社員の時間単価は5746円となりますが、これを米国企業の時間当たり労働生産性指数に置き換えると1.6倍の9193円となります。かなり大きな開きとなります。

 

金額だけを見れば松下幸之助氏の説く“給料の3倍目標説”を実現していることになります。昔から指摘されてきたことですが、米国と日本の労働生産性の間には大きな差があります。この開きを真剣に縮める努力をするべきなのです。

 

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