資産と同様に、人材にも「耐用年数」がある
人材育成のために投入した時間と単価を掛け合わせれば人(社員)の資産価値を算出することができます。しかし、人を資産として考えた場合ネガティブな面が存在することを忘れてはいけません。人間である以上、その力が衰えることがあるのです。ここで人の資産にも“減価償却”という側面があることに注意を払わなければなりません。
資産に耐用年数があるように、人も努力しなければ確実に劣化します。2012年にはすでに私たちを取り巻く情報量は2.837ゼタバイトに達したといわれています。ゼタバイトとは情報量を示す尺度です。1ゼタバイトは世界中の砂浜の砂粒を合わせた数といわれています。
今後この情報量はさらに急速に増えていきます。新聞紙面を隈なく読むことさえできない私たちに、世界中に存在する砂粒の何倍もの情報がもたらされるという時代です。情報過多の時代では、人々の消費傾向はめまぐるしく変化していくものです。
資産価値を維持することが難しい時代
設備更新の期間が短くなっているともいわれています。例えば、喫茶店の内装でいえば、10年以上前は7年で改装していたものが今は5年とそのサイクルが短くなっているといいます。
税法上で定められた耐用年数が10年であったとしても、その資産に対する社会のニーズが弱くなれば、10年と保ちません。資産の劣化はどんどん速くなっています。社会変化の影響を受けない、個人が有する資産や企業内部で使用する資産が耐用年数を下回ることは少ないでしょうが、消費市場の影響を受ける資産の劣化は速くなっています。
このように、資産価値を維持することがとても難しい時代といえます。なかでも最も変化の影響を受けやすいのは人です。
そうした意味では、人材も減価償却資産と捉えるべきではないでしょうか。機械は時間とともに減価償却され、耐用年数の経過後はほぼ価値がなくなります。人もそれに当てはまります。ビジネスは常に社会の変化に曝さらされており、市場の変化にも迅速に対応し行動を起こさなければ瞬(またた)く間に競争力を失ってしまいます。ビジネスの現場で働く人は、まさにその最前線に立っていることになります。
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