新型コロナより怖い、老人抹殺社会の現実が忍び寄ってきている。「老人はもう長生きしない。なぜなら、老人を殺してもおかしくない社会になっているからだ」――。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が明かす、驚愕の事実。超高齢化社会ニッポンが抱える問題点を明らかにする。本連載は小嶋勝利著『もはや老人はいらない!』(ビジネス社)から一部を抜粋、編集したものです。

自立の高齢者は自立用の老人ホームに入居

身体の状態に合わせて転ホームする時代

 

自立の高齢者は、自立用の老人ホームに入居をするべきなのです。このように言うと、多くの読者の皆さんからは「でも要介護状態になったら出されるのではないか?その時に、困ることになるのではないか?」という声が聞こえてきます。

 

たしかに要介護状態になったら、出されることはあります。私はむしろ要介護状態になったら、それこそ積極的に退去し、要介護高齢者向けの老人ホームに転ホームすることが正しいことだと考えています。

 

医師と同様に介護も働いていくうちに専門分野を持つようになっていく。(※写真はイメージです/PIXTA)
医師と同様に介護も働いていくうちに専門分野を持つようになっていく。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

よく考えてみてください。サイズの合わなくなった洋服や流行遅れになった服をいつまでも着続けている人は多くないでしょう。つまり洋服は、必要に応じて買い換えるのが一般的です。

 

さらに病気になった時、お腹が痛くて耳鼻科に行く人は皆無です。足をくじいて内科を受診する人もいないでしょう。医療業界には専門医がいるからです。各医師は得意な分野ごとに診療科目を選び、日夜勉強に励み、専門医を標榜しています。

 

私たちもより専門性の高い医師の診察を希望し、症状に応じて診療科目を自分で選択しているはずです。当たり前の話ですが、医師国家試験に内科医師、外科医師などの試験はありません。医者は全員、同じ医師国家試験に合格して医師になっています。

 

医師と会話をしていると、自分の専門外の医療については「わからない」と断言している医師も多くいます。それぐらい専門性が求められるものなのだと思います。

 

介護も同じです。同じ国家試験である「介護福祉士資格」に合格していても、介護現場で働くうちに、「自分は認知症高齢者のケアが得意だ」とか、「自分は自立の高齢者の介護支援が得意だ」とかといった専門分野を持つようになっていきます。医療のように専門医制度や学会などのように確立されたものは、まだまだ不十分です。でも介護保険制度の改定内容などを見ても、医療業界のような専門性に対する資格や研修などの実態に応じた介護保険報酬に変わりつつあります。

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