新型コロナより怖い、老人抹殺社会の現実が忍び寄ってきている。「老人はもう長生きしない。なぜなら、老人を殺してもおかしくない社会になっているからだ」――。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が明かす、驚愕の事実。超高齢化社会ニッポンが抱える問題点を明らかにする。本連載は小嶋勝利著『もはや老人はいらない!』(ビジネス社)から一部を抜粋、編集したものです。

訪問介護はベテラン、施設介護は若い介護職員

ちなみに介護職員は、自立や認知症、身体障害などの利用者の疾患別の得手不得手だけではなく、介護サービス別にも得意不得意があります。

 

 小嶋勝利著『もはや老人はいらない』(ビジネス社)

小嶋勝利著『もはや老人はいらない』(ビジネス社)

わかりやすく言うと、訪問介護が得意な介護職員と施設介護が得意な介護職員に分かれます。理由は人それぞれだと思いますが、多くの場合、対象者との対峙方法の違いについての得意不得意になります。

 

つまり訪問介護は一定時間だけ、マンツーマンで濃厚な個別介護支援をすることになり、施設介護では24時間365日にわたり多くの入居者の中の1人という位置づけで行なう集団介護になっているからです。どちらが難しいとか、大変だとかということは論じても意味がないことですが、介護職員によっては、どちらかしかできない者も多く存在しています。

 

介護職員の得手不得手を知ろう

 

私の偏見と勝手なイメージで言わせていただくなら、訪問介護は比較的年配のベテラン介護職員が多く、施設介護は若い介護職員や男性が多いように思います。やはり1対1で対峙する介護には年の功という介護スキル以外のスキルが必要になるし、施設での集団介護の場合、何はともあれ体力が必要だということなのです。

 

話が少し横道にそれてしまいますが、介護業界は少子高齢化に伴って介護職員不足が甚だしいという報道が多くなされています。その原因は「3K職場であるにもかかわらず低賃金だからだ」と言われています。だから賃金を上げれば介護職員は定着する、ということになっています。

 

たしかに報酬が高ければ、風俗業界と同じで一定の就職ニーズはあるとは思います。が、本質課題の解決策にはなっていません。介護職員が定着しない理由は後ほど詳しく触れますが、多くのケースは経営側の介護職員が保有する「流派」に対する不理解にあります。それに関連して、次のようなことを理解してください。

 

前記したように介護職員は、訪問介護か施設介護かのどちらかを得意としています。しかし現在の介護業界は、高齢者の多様化に合わせ、その2つ以外の多くの異なったサービスを導入しています。たとえば住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、さらには小規模多機能型居宅サービスなどがそれにあたります。これらのサービスに共通しているキーワードは、複合型介護サービスです。

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