収益不動産と自宅を保有し、悠々自適のひとり暮らしを続けてきた母親。長男はアメリカ、次男は妻の地元に生活基盤を持ち、いずれも故郷に帰る予定はありません。しかし、母親の不動産は老朽化が進み、放置できない状態になってきました。同時に、母親の体調にも変化が見えはじめ…。離れた場所に暮らす息子たちは、どう対処したらいいのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

調査段階で母親の認知症が発覚、速やかに手続きを完了

今回、筆者が調査を進めている段階で、石川さんの母親が初期の認知症であることが判明しました。そのため、本人の意思確認が必要となる売却・買い替え・遺言作成について、石川さんと石川さんの兄は速やかに決断をして手続きを急ぎ、ぎりぎりのタイミングで間に合わせることができました。

 

 

もし決断が遅れてしまったら、多額の相続税が発生し、納税のために自宅がなくなってしまうところだったのですが、速やかに決断・実行することができたため、節税対策が行えただけでなく、老人ホームの費用の補填もできました。なにより不動産が、相続時にも分割しやすく、今後の維持もしやすい形に姿を変えたことで、石川さんとアメリカ在住の兄も、大いに安堵されたのです。

 

「ちょっとした相談のつもりが急な展開となって驚きましたが、段取りよく事が進んで、いちばんいい形に収まったと思っています。こんなにうまくいくなんて、きっと、亡くなった父が母のことを守ってくれたのでしょうね。これで僕も兄も安心です!」

 

石川さんはとてもいい笑顔を見せてくれました。

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

曽根 惠子

 

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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