絶えず動いて落ち着きがない、話すときに視線が合わない…。一見すると、発達障害があるのか、それとも本人の性格や気質の問題なのかわからない子どもが増加しています。今回は、ADHD(注意欠如多動症)の子どもに見られる特徴や、広く知られることとなった背景、原因などを解説します。※本記事は盛岡大学短期大学部幼児教育科教授である嶋野重行氏の著書『もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

 

知能の遅れはないのですが、不注意やケアレスミスや忘れ物が多かったり、他の人と同じ箇所に注意を向ける共同注意ができなかったり、多動性、衝動性があるため突然暴れる(キレる)のです。その関連性のある障害がADHD(注意欠如多動性障害)と考えられたのです。

 

ADHDの子どもには、運動能力が高い子もいます。環境さえ整えばサッカーやバスケットボールなどの運動に対しては、素晴らしい能力を発揮すると思います。

 

しかし一方で、協応動作ができずに、不器用(クラムシー)と呼ばれる発達性協調運動障害(DCD)の子どももいます。それが運動嫌い、学習の遅れ、非行、いじめの対象、不登校にもつながっていくこともあります。

 

不登校は、小学校段階で約300人に1人、中学校で約30人に1人くらいの割合の子どもがいます。小学校では、1学校に約1人、中学校では1学級に約1人の割合です。中学校では1年生の夏休み明けや2年生に進級した頃になると急激に不登校が増えるといわれます。

 

不登校問題は中学校で改善されず、高止まりの様相をみせています。学校での修学のあり方もだいぶ議論されています。必ずしも「学校の場」に来なくても、それに代わる適応教室などの教育委員会が認めた施設への登校でも卒業認定されるようになってきました。

失敗が多い、集中できない…ADHDの原因と症状

ADHDの原因は、遺伝的因子と胎児期における親のアルコールやたばこ、低酸素と脳の虚血と考えられています。脳の前頭葉に損傷を受けると、不注意や多動などADHDの症状に似るといわれます。ADHDの人は神経伝達物質のドーパミン、エピネフリンの放出量が少ないとか、前頭葉の血液量が少ないということがいわれていますが、決定因子は不明です。

 

状態像としては「(勉強や仕事、活動に)集中できない」「整理整頓ができない」「忘れ
物が多い」「失敗が多い」「自分の有利になるような行動がとれない」「落ち着かない」「衝動的な行動をする」「集団から逸脱する」「相手の立場で考えることができない」などです。

 

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もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

嶋野 重行

幻冬舎メディアコンサルティング

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