行動経済学の権威のダニエル・カーネマン(1934-)が2002年にノーベル経済学を受賞しており、近年行動経済学への注目度が高いことがわかります。
次に、いますぐもらえる3万円と1年後もらえる4万ではどちらをとりますか? 銀行の利子を足しても通常3万円は1年後に4万円にはなりませんが、多くの人は目先の3万円をとります。
このように目先の利益に弱いことを、時間選好性が高いといいます。また将来の利益よりも現在の利益を優先するので、現在性バイアスともいいます。確実性バイアスと、現在性バイアスによってもたらされるのが、現状維持バイアスです。現状維持バイアスは人類が厳しい自然の中で生き残るために身につけた必要な能力だったのかもしれません。
肥満が改善できない、禁煙ができないというのも現状維持バイアスに質を重視しますが、これを確実性バイアスと呼びます。よるものです。しかし、病院経営ではこの現状維持バイアスがイノベーションの障害となります。
※本記事は連載『MBA的医療経営』を再構成したものです。
角田圭雄
愛知医科大学/内科学講座肝胆膵内科学准教授
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