新型コロナより怖い、老人抹殺社会の現実が忍び寄ってきている。「老人はもう長生きしない。なぜなら、老人を殺してもおかしくない社会になっているからだ」――。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が明かす、驚愕の事実。超高齢化社会ニッポンが抱える問題点を明らかにする。本連載は小嶋勝利著『もはや老人はいらない!』(ビジネス社)から一部を抜粋、編集したものです。

介護業界は規模の経済が本当に働くのか

老人ホーム業界は、M&Aが大流行。史上最大のババ抜きゲームを開催中

 

今、老人ホーム業界ではM&Aが大流行りです。介護業界の先行きを見越し、今が売り時と見た老人ホーム経営者が会社を積極的に売り、利益を確定させようと懸命です。また逆に今こそ事業拡大のチャンスだと判断した経営者は、売りに出ている老人ホームを積極的に買いまくっています。どちらが正解なのかは神のみぞ知る話なのでさておき、その背景について説明をしておこうと思います。

 

介護業界はM&Aが盛ん。売りか、買いか、どっちが正解か。(※写真はイメージです/PIXTA)
介護業界はM&Aが盛ん。売りか、買いか、どっちが正解か。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

売りに出している老人ホームの経営者は、今後の老人ホーム事業はネガティブだと捉えています。さらに「後継者がいない」「親会社の都合や希望」という個別事情も多いと聞きます。それではなぜ、ネガティブに考える経営者がいるのでしょうか? 理由は今までの介護保険法改正のプロセスにあります。詳細は省きますが、介護保険法は改正ごとに介護報酬の見直しがされています。そして、その改正の基本的な考え方は能力に応じた報酬体系へと変化してきています。

 

わかりやすく言いますと2000年当時は介護保険報酬の多くは基本報酬で、特別な能力や機能、要件を満たさなければ算定できない加算報酬の比率はあまり多くありませんでした。私の周りにいた多くの介護保険事業者の経営者も当時は、「加算報酬は大した金額ではないため、あえて取りに行かない。基本報酬だけで十分である」と言っていました。しかし20年経った今、基本報酬だけでは経営に希望が持てず、さりとて加算報酬を取る能力のない事業者はじり貧になっていくことが明白です。したがって加算報酬を取る能力やノウハウのない小規模事業者は経営が行き詰まる前に他の事業者に譲渡してしまおうという作戦なのです。

 

逆に積極的に会社を買い取っている事業者の考え方は、「効率経営をしたい」ということです。前記した通り、少ない利益率で会社を運営していくには、その根源である具体的な売上額を増やす以外に方法はないという判断です。同じ5%の利益率だとすれば売上が10億円の場合は5000万円の利益になりますが、売上が100億円になれば5億円の利益額になるという理屈です。しかし現実は、そううまくはいきません。

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